2013 Fiscal Year Research-status Report
利用者と地域のアクセシビリティの違いを考慮した施設の利用行動モデルと最適配置
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24560758
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岸本 達也 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (30302532)
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Keywords | 最適配置 / 均衡配置 / 通信販売 |
Research Abstract |
25年度は、これまでの買い物行動調査に基づく買い物行動のロジットモデルを用いたモデル化についての研究を継続して行いつつ、競合する施設群の最適配置について検討を進めた。24年度の研究により、店舗へのアクセス性の低い場所の住民は、通信販売をより多く利用する傾向があることが確認されるなど、実店舗と通信販売による店舗を持たない業態との間での空間的な競合関係が生じていることが確認できた。その結果を踏まえ、通信販売事業者の存在を考慮に入れて、競合する店舗群が最適な配置を行った場合に、通信販売事業者が存在しない場合と比べて、異なる配置となるのか、そしてどのように異なる配置となるのかについて、競合立地についての数理モデルを作成した。線分上の仮想都市における競合立地の問題を例に競合状態における立地競争が繰り返された場合に、店舗の配置がどこに収束するのか、その時の集客量がどうなるのかを解析的に求めて、理論解を示した。通信販売の魅力が低い場合には、店舗は中心部にて立地競争をするが、競合する店舗に対して、通信販売の魅力が高くなると、店舗の配置は中心部を離れて配置するようになり、さらに通信販売に魅力が高くなると、店舗の配置は再び中心部に集中するようになり、そこで立地競争を繰り返すことになる。一方、競合する2店舗が協調した行動をすると、2店舗の配置は、やや中心部を離れた配置で均衡するが、通信販売に魅力が高くなると、やはり中心部に集まって均衡するようになる。つまり、一定の条件では実店舗は互いに離れて、中心部から離れた配置になるが通信販売の魅力が高くなると、次第に都市の中心部に集中して立地する傾向が高くなることが明らかとなった。通信販売の普及は、一時的に実店舗の配置を分散させる傾向があるものの、最終的には中心部に集中して配置することに作用し、買い物の不便な地域を生み出す恐れがあることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度において交通手段を考慮した買い物行動のモデル化を行い、買い物行動を記述するモデルの提案を行った。提案モデルによれば、交通手段を考慮した店舗選択と買い物行動を記述することができる。25年度は、さらに通信販売を考慮した最適配置・均衡配置のモデルを提案し、通信販売を考慮した買い物行動の記述と最適配置、均衡配置についての知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの研究成果を発展させ、都市部の多くの店舗が出店している利便性の高い地域と、近年減少することによって店舗が少なく買い物が困難となっている地域の両方を対象に、買い物行動調査を行い、それぞれの地域において、交通手段および通信販売を考慮した買い物行動モデルを作成する。さらにその結果を踏まえた、店舗の最適配置について検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果の発表のための旅費、研究成果の論文掲載費用、調査費用の支出が予定よりも少なかったため。 研究成果の発表のための旅費、研究成果の論文掲載費用、調査実施のための費用として使用する計画である。
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