2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560765
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
田中 賢 日本福祉大学, 健康科学部, 教授 (00387747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋野 公宏 独立行政法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 主任研究員 (30391600)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 震災 / 防犯 / 防犯環境設計 / 避難所 / 仮設住宅 / まちづくり |
Research Abstract |
震災時における防犯まちづくりに関する研究を①発生直後段階、②復旧段階(避難所生活段階・仮設住宅居住段階)、③復興段階の3段階に分けて、それぞれの段階で防犯視点でどのような問題が発生したのかを東日本大震災被災地を中心に調査を行い対策を検討した。 予備調査として震災時の防犯まちづくりを全国に先駆けて取り組んだ静岡県くらし・環境部県民生活局への聞き取り調査を実施した。取り組み内容自体は従前の震災時の取り組みを防犯視点で再構成したもので新規内容はない。防犯視点により課題を浮き彫りにした点や県庁内横断型で検討した点などが評価できる。 予備調査の結果を踏まえて、宮城県警察本部生活安全部に対し聞き取り調査を行った。その結果、次のような課題が明らかとなった。①発生直後段階‥避難中に自宅周辺を廻る防犯パトロールと平時の防犯パトロールとの違いは、移動手段や連絡手段、巡回頻度などが異なっており、ボランティアの安全性を確保した巡回のための工夫が必要。防犯ボランティアや警備業協会など防犯スキルを持った団体との連携は現場に合わせた様々な可能性がある。②-1.避難所生活段階‥特に女性のプライバシー確保など犯罪とは直接関係しないグレーゾーンの問題が多く発生している。避難所は時間経過とともに統廃合があり統率が難しい。②-2.仮設住宅居住段階‥宮城県では地域防犯サポーターが警察と仮設住宅居住者の仲介役として機能した。この制度により(現在発生している・今後発生しそうな)問題を早期に発見対処できた。一方、仮設住宅のコミュニティが弱い地区。既にトラブルが発生している地域では引き受け手がいない。トラブルのある仮設は自治ができず、さらにトラブルが増えるという悪循環に陥っており早期の対応が必要。 その他に被災地域の建築会社や安全教育を行うNPOなどに聞き取り調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
宮城県警察本部内には、東日本大震災当時、避難所を巡回していた内容が記録された巡回日誌が大量に保管されており、それを分析したい旨を申し入れた。時間をかけて本部内で検討した結果、個人情報保護などを理由に断られたため研究作業にタイムラグが発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
防災教育や安全教育をしている団体に対して継続的に聞き取り調査を実施する。また、各種安全教育ワークショップ手法に防犯視点をいれたものを検討する。たとえば、安全教育で用いられるエラーチェーンとSHELモデルや防災教育ゲームである「避難所運営ゲーム(HUG)」や「クロスロード」には、現在のところ防犯視点が盛り込まれていない。そこで震災時の防犯視点で内容を検討し、それを用いて講習会を行い学習効果を測る。 エラーチェーンとSHELモデルでは、被災地の防犯パトロールが余震に遭い二次被害を受けた場面を想定し、時系列で問題を分析し、どうすれば被害を抑えられたのかを検討する。「避難所運営ゲーム(HUG)」は避難所に押し寄せる避難者を如何に捌いてスペースを与えて滞りなく運営するのかを考えるゲームだが、そこに時々のイベントとして、「のぞき事案が発生」「下着が盗まれた」「貴重品が盗まれた」「乳児の夜泣きでトラブル発生」「車上荒らしが発生」などの項目を入れて対処方法を検討させる。 「クロスロード」は阪神淡路大震災の教訓を踏まえ、善し悪しの判断の難しい事案について討議し多数決で勝敗を決して、最終的に勝数の多い人が優勝するゲームである。そこに「被災した我が家を夜間に見回ろうと自警団を結成するのは○か×か」など被災時の防犯について判断の迷う事案について問う項目を加える。 現在までで聞き取りした項目で、これらのゲームに採用できる項目を検討する。これらの項目を加えたゲームを作成し一般生活者に対し実施し、被災時の防犯についての意識変化を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度予算では、宮城県警本部でのデータ入力作業人件費およびテキストマイニングソフト費用の購入を予定し650,000円を確保していたが、この作業を行わなくなったため25年度に繰り越す。25年度は24年度の聞き取り成果を効果的に社会へ還元するためのワークショップツール(机上ゲーム)の作成を行い学習効果を測る。ワークショップ用の仮設住宅設営モデルキットの試作費用及びワークショップ実施費用(材料費・人件費含む):450,000円。「エラーチェーンとSHELモデル(被災時防犯バージョン)」の作成:150,000円。「避難所運営ゲーム(HUG)(防犯項目入り)」の試作費用及び実施費用(材料費・人件費含む):350,000円。「クロスロード(防犯項目入り)」の試作費用及び実施費用(印刷費含む):150,000円。防災教育や安全教育をしている団体に対する聞き取り調査費用(旅費):250,000円。
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Research Products
(1 results)