2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560770
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Research Institution | Kyoto Kacho University |
Principal Investigator |
川島 智生 京都華頂大学, その他部局等, 教授 (60534360)
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Keywords | 東日本大震災 / 小学校校舎 / 被災建物 / 復興計画 / 地域コミュニティ / 学校建築史 / 鉄筋コンクリート建築 / 僻地学校 |
Research Abstract |
・2013年度の研究は被災2年目の東北地方各県ならびに関東地方各県の太平洋沿岸部の現地調査を実施した。対象となる各小学校の校舎の、より詳細な調査をおこない、可能な限りにおいて内部の立ち入りを実施した。 ・対象となる各小学校の沿革史や市町村史などの文献調査をおこない、明治三陸津浪・昭和三陸津浪・チリ地震による津浪を受けて、校舎がどのように建築的変化を遂げ、また敷地の移転状況について分析をおこない、どのように津浪被害に対応していったのかを調査した。 ・各小学校通学区の住民に対して、地震時・津波時にどのように対応したのかの聞取り調査をおこない、定められた避難路が適切なものであったのかどうかを検証した。避難路と通学路については、実際にその経路の現地調査を実施し、問題点の把握をおこなった。 ・18年が経過した阪神淡路大震災後の復興状況を小学校校舎という観点から調査分析をおこなった。被災した対象地域である淡路市(旧北淡町)・神戸市・芦屋市・西宮市・尼崎市・伊丹市・宝塚市・川西市・大阪市・豊中市の、被災した小学校の現地調査をおこない、建替えの状況を調査し、分析考察をおこなった。震災前と震災後、そして18年経過の3つの時期に分けて比較分析をおこなった。 ・研究協力者として宇杉和夫氏に原発爆発により未曾有の被害を受けたウクライナのチェルノブイリでの現地調査を委ねた。またチェルノブイリに隣接したニュータウン・プリピャチでは小学校やコミュニティである団地の調査を委託し、あわせて文献収集の実施を委ねた。福島県下の市町村でのコミュニティの復興状況を小学校との関係から現地調査を依頼し、分析結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の全体計画のなかで2013年度分の研究についてはおおむね当初の計画どおりに進展している。 研究代表者、ならびに研究協力者は各自の関連研究を進め、口頭発表や論文のかたちで、関連研究の発表を行っている。また、研究会を京都で開催し、共同研究の推進と周知にも努めている。その意味では、当初の計画以上に進展しているところがあるが、当初の年度計画の枠内では不十分な点もあり、3年間の計画全体から見れば、おおむね順調に進展している、というのが自己点検による評価である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては次の4点を計画している。 ・1点目は東日本大震災にくわえ、関東大震災や阪神淡路大震災などの大災害のなかで小学校校舎がいかに復興してきたのかという、これまでの研究全体を総括する。 ・2点目は東日本大震災被災校の学校別のデーターを集約し、建築学的解明をおこなう。市街地や集落形成のなかでの位置付けをおこない、また地域コミュニティとの関連をみる。 ・3点目としては北但馬ならびに奧丹後の両地震で倒壊した校舎の実態と復興の様態を現地調査から検証する。奧丹後震災の復興校舎として峰山小学校が現存しており、建築意義にくわえて、地域コミュニティの核としての校舎について検証をおこなう。 ・4点目は昭和9(1934)年に起きた関西大風水害(室戸台風)で倒壊した校舎の実態と復興の様態を検証する。とりわけ京都市域には二桁台にわたって復興校舎が現存しており、現地調査ならびに文献調査から実態把握をおこない、その意義を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費で使用予定だったが、計画より安い金額で収まったため 平成26年度の旅費にあてる
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Research Products
(4 results)