2012 Fiscal Year Research-status Report
路上犯罪発生の抑止を目的とした街角施設の防犯資源としての活用の可能性に関する研究
Project/Area Number |
24560771
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉村 英祐 大阪工業大学, 工学部, 教授 (50167011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木多 彩子 摂南大学, 理工学部, 教授 (90330357)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 通学路 / 犯罪不安 / 交通不安 / 防犯資源 / 買い物弱者 / 地域施設 |
Research Abstract |
1.小学校区における通学児童の交通面の不安と交通安全対策の効果に関する保護者の意識調査を行った。具体的には、大阪府守口市立の小学校2校の児童の保護者を対象に、通学路におけるハード面の対策と、付き添い登校や見守り活動などのソフト面の対策による安心の度合いを尋ねるアンケート調査を実施し、通学路における交通安全対策のニーズを明らかにした。 2.小学校区における通学児童への犯罪不安と防犯対策の効果に関する保護者の意識調査を行った。具体的には、1と同じ小学校を対象に、学校、警察、教育委員会等の関係機関が進める防犯カメラや注意喚起の看板の設置等のハード面の対策と、付き添い登校や見守り活動などのソフト面の防犯対策、自然監視性に寄与する店舗や住宅による犯罪抑制効果などの、通学路における防犯対策の有効性に対する評価と、校区内で犯罪発生の不安を感じる場所を調査し、安全で安心な通学路環境を整備するための基礎的資料を得た。 3.中心市街地における地域施設の分布と外出行動からみた買い物環境の評価を試みた。具体的には、中心市街地である大阪市旭区太子橋地区を対象に、地域施設の分布、公共交通機関、買い物支援サービスの実態調査、高齢者・障がい者・子育て世代などの買い物行動を調査し、大都市の中心市街地においても、買い物が困難な人が生まれる社会的背景や環境条件を、地域施設の分布実態調査および高齢者・子育て世代の外出行動調査により明らかにした。 4.その他、犯罪不安箇所と地域施設の分布、買い物しやすい環境と防犯環境の関係性の一端を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.防犯資源の定義(達成度90%):一般市民、特に高齢者や子どもを狙った犯罪を抑制する条件を満たす可能性がある生活関連施設や防犯設備等を防犯資源と定義した。前面道路に面して大きく開いている施設、夜間営業施設の防犯資源としての可能性は来年度に結論を持ち越した。 2.犯罪が発生しやすい環境特性の調査(達成度100%): 下記4の調査対象校区に分布する防犯資源を調査し、種類別に地図データ化した。 3.全国の防犯先進地区における防犯への取り組みの実態調査(達成度50%):当初計画していた実態調査が時間的に間に合わず、文献調査にとどまった。ただし、買い物支援活動の調査時に、巡回等が防犯抑止効果に繋がる可能性があることを見いだしたことは、収穫である。 4.実態調査の結果をもとにした調査フィールドの開拓と予備調査(達成度75%):安全安心なまちづくりの調査フィールドとして守口市立の小学校2校の校区を確保した。また、以前からつながりがあったNPO法人の協力を得て、買い物難民・買い物弱者の行動を解明する予備調査を実施した。千林商店街における調査は、来年度に持ち越しとなった。 5.調査対象地区の防犯まちづくりに関する調査・分析(達成度100%):上記4の小学校に通う児童の保護者を対象に、校区内で交通事故の不安を感じる場所と犯罪発生の不安を感じる場所とそれぞれの理由を尋ねるアンケート調査を実施した。実施にあたっては、教育委員会の全面協力が得られたため、非常に高い回収率になり、また信頼性の高い回答が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、下記の調査を予定している。1.前年度アンケート結果の詳細分析(住民の治安意識構造の分析、不安な場所・安心な場所・被害発生場所のデジタルマップへの重ね合わせによる空間特性の分析、防犯資源の犯罪発生抑止効果の分析 2.住宅地内の施設混在に対する住民の意識調査(住宅地内に小規模店舗等の街角施設が混在立地に対する許容の程度や許容条件が、防犯資源としての性格の有無や程度によりどの程度影響されるかについて、住民の意識調査をおこなう) 3.街角施設の防犯資源としての活用の可能性の検討(小規模店舗等の街角施設の犯罪抑止効果を地域計画、建築計画、配置計画、照明計画、防犯設備計画などの面から包括的に実証する) 4.コンビニエンスストアの防犯資源としての側面の検討(コンビニエンスストアの高齢者や障がい者の生活支援施設、公共サービス施設、災害支援施設に加えて防犯資源として活用する可能性やその条件を調査する) 上記を計画通り実施するため、①研究分担者との緊密な協力 ②大学院生を研究協力者にした効率的な研究体制の整備 ③引き続き地域との信頼関係の向上 をはかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、主として以下の理由により当該研究費が生じた。(1)当初の研究計画では、住民の安全安心に対する意識を尋ねるアンケート調査を、調査対象地区内の全戸に配布し郵送で回収する予定であったが、地元教育委員会と小学校の全面協力が得られたため、調査票の配布数が大幅に減り印刷代が安くなったこと、および調査票回収用の切手代が不要となったことで、調査費用が大幅に減った。(2)上記の理由でアンケート調査票の配布労力とデータ分析量が大幅に減ったため、分析補助(学生への謝金)の支出が大幅に減った。(3)より目的にかなう調査方法の開発により、設備備品費で計上していたモニタ用PCのかわりにタブレット端末を購入したため、コンピュータ購入費用が減った。(4)全国の防犯先進地区における防犯への取り組みの実態調査が実施できなかったため、調査旅費の支出が大幅に減った。 平成25年度は、上記の 1.前年度アンケート結果の詳細分析、2.住宅地内の施設混在に対する住民の意識調査、3.街角施設の防犯資源としての活用の可能性の検討、4.コンビニエンスストアの防犯資源としての可能性 (以上、当初の研究実施計画通り)に加えて、前年度に実施できなかった全国の防犯先進地区における防犯への取り組みの実態調査、買い物支援活動の犯罪抑制効果に関する現地調査を精力的に行い、25年度調査とあわせて、当初の目標達成をめざす。
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Research Products
(8 results)