2012 Fiscal Year Research-status Report
千里ニュータウン公社分譲マンション居住者の生活と管理組合活動の計画史的研究
Project/Area Number |
24560777
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Women's University |
Principal Investigator |
岡 俊江 九州女子大学, 家政学部, 教授 (90223990)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メゾネット / 住まい方 / 千里ニュータウン / 管理組合 / マンション / 時系変化 |
Research Abstract |
1967(昭和42)年、千里ニュータウンに大阪府住宅供給公社によって建築された同NT初のメゾネット型式集合住宅Aマンション(54戸うち管理人室1戸、RC造6階建て)を対象として、本年度の研究課題3点に取り組んだ。 (1)管理組合活動の歴史・建替え合意形成過程 実態調査-管理組合記録の整理と解析: ①1967(昭和42)年分譲時から2011(平成23)年退去時までの45年分の記録の整理は副本の作成を終え、電子ファイル化の作業を進行中である。②所有権・管理の変化解明のために、区分所有権の移動、賃貸化率の変動、管理形態の変化の読み取り作業と、建替え合意形成過程の考察のための、総会議事録等資料の探索を開始した。③管理組合役員に対する管理の概要のヒアリング調査は次年度に持ち越しとした。 (2)メゾネット型式住宅の住まい方調査:①7月に、現地の訪問調査を実施して、居住者3例を対象に、家族構成の変化と住まい方、リフォームの有無と内容をヒアリングした。収集済みと合わせて計10例となった。一つのマンションで同じ平面構成の住戸に居住する10世帯の居住歴と家族構成の変化と就寝室分解の時系変化を明快に図示できた。2013(平成25)年9月開催の日本建築学会大会で発表するため2編を投稿した。 (3)メゾネット型式住宅の計画史的検証:①建築学会の発表と作品掲載誌を基にメゾネット型式集合住宅の既往研究をレビューして、計画史を辿る作業は、初期に建築の平面図を含む文献は収集を終え、旧日本住宅公団の図面を収集中である。②7月に、Aマンションの設計者にヒアリング調査を実施した。メゾネット型式を採用した経緯と、千里NTで大阪府住宅供給公社によって分譲されたメゾネット型式集合住宅は3件とも同じ設計者であったことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究課題3点のうち、(1)は資料が多量のため、想定以上に時間を要し遅れ気味であるが、資料は入手済みであり平成25年度に時間をかければ解決できる。(2)と(3)は順調に展開し、さらに深化できる可能性が高いので、全体としてはおおむね順調と評価する。 (1)管理組合活動の歴史・建替え合意形成過程 実態調査-管理組合記録の整理と解析: ①1967(昭和42)年分譲時から2011(平成23年)年退去時までの45年分の記録の整理は、副本の作成に想定以上の時間を要したため、電子ファイル化作業が遅れ漸く着手したところである。②所有権・管理の変化解明のために、区分所有権の移動、賃貸化率の変動、管理形態の変化の読み取り作業も遅れた。このため、③管理組合役員に対する管理の概要のヒアリング調査を次年度に持ち越すことにした。 (2)メゾネット型式住宅の住まい方調査:①順調に展開し、一つのマンションで同じ平面構成の居住する10世帯の居住歴と家族構成の変化と就寝室分解の時経変化を明快に図示できた。2013(平成25)年9月に開催予定の日本建築学会大会で発表のため2編を投稿した。 (3)メゾネット型式住宅の計画史的検証:順調に展開した。①建築学会の発表と作品掲載誌を基にメゾネット型式集合住宅の既往研究をレビューして、計画史を辿る作業は、メゾネット供給初期の文献も収集でき、旧日本住宅公団の図面を収集見込みなので、広い視野から考察可能となった。②Aマンションの設計者から、メゾネット型式を採用した経緯を当時の社会的背景とともに、ヒアリングできた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き3つの研究課題に取り組む。 (1)管理組合活動の歴史・建替え合意形成過程 実態調査-管理組合記録の整理と解析: Aマンションの建替え決議は最終的には「全員合意」となったが、建替えは10年前の提議から中断、再提議の経緯を辿っている。このプロセスを辿る。①5月-26年2月、建替え提議前約30年間の建物の維持管理状況を専門委員会の記録の存在の有無を確認した上で、大規模修繕の決議の経緯と修繕内容を明らかにする。②5月-26年2月、記録を基に建替え合意形成過程の考察を行う。③5月-12月、建替えに関するヒアリング調査を行う。対象と内容は管理組合役員から経緯について、当初建替え反対居住者から反対の理由と考えの変化について(予定)、建替え賛成居住者から賛成の理由について。④9月-2月、建替えを可能とした理由について、管理組合役員と協同で、管理組合活動の検証を行う。⑤26年3月、日本建築学会九州支部で発表する。 (2)メゾネット型式住宅の住まい方調査:①7月-26年3月、住まい方調査の事例を1例で多くするために、協力者を求めて追加調査を実施する。既に、調査済みの事例に関して、設備面に着目して、冷暖房機の導入時期と設置場所を詳細にヒアリングする。②9月、前年度の成果を日本建築学会大会で発表する。③10月-26年3月、住まい方調査をまとめ、生活史の編集に着手する。居住者にもわかりやすい表現を検討する。 (3)メゾネット型式住宅の計画史的検証:①5月-26年3月、前年度に引き続き建築学会の発表と作品掲載誌を基にメゾネット型式集合住宅の既往研究をレビューして、計画史を辿る。図面収集対象に、旧日本住宅公団を加える。②5月-26年3月、Aマンションの住まい方を計画史の視点から検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使途は調査旅費(大阪・東京・福岡県内他)と日本建築学会大会(北海道)発表のための参加費が、多くを占める。参加人数は、研究代表者の岡と研究協力者のマンション管理士藤野雅子さんと元関西大学講師馬場昌子さんの計3人である。 (1)調査旅費(大阪・東京・福岡県内他、40万円)と(2)研究成果発表のための学会参加旅費①日本建築学会大会(北海道)、②日本建築学会九州支部(佐賀市)、③日本マンション学会九州支部(佐賀市予定)発表のための参加費(70万円) (2)調査補助、管理組合記録のうち未整理の総会議事録以外の諸記録の整理等とデータ入力のためのアルバイト代(20万円) (3)図面整理のためのPCソフト代(10万円) などである。
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Research Products
(2 results)