2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24560780
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 耕一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30349831)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 西洋建築史 |
Outline of Annual Research Achievements |
「西洋建築史学の現代性」という観点から西洋建築史学の方法論に関する研究を3年間にわたり実施してきた本研究課題の成果として、研究代表者がこれから西洋建築史研究に取り組むうえでの3つのアプローチを打ち立てた。 (1)「構築術的空間論」:構法・材料・構造といった具体的なモノとしての建築に着目しながら、単なる技術論にとどまるのではなく、空間論、建築理論まで発展させる研究方法として。フランプトンの『テクトニック・カルチャー』以降の建築史学のあり方。このアプローチに関しては「構築術的空間論としてのゴシック建築研究」(『ゴシック様式成立史論』2012年)や「特集 歴史観なき現代建築に未来はない」(インタビュー)(『GA JAPAN』124号、2013年)などの成果を発表した。 (2)「点の建築史から線の建築史へ」:建築を竣工年代によってカタログ化(点の建築史)するのではなく、建築が時間の変遷とともにどのような変化を遂げていったのか(線の建築史)という点に着目する。「建築」:「建築家」:「竣工年」を一対一対応させがちな、近代的建築観からの脱却。このアプローチに関しては、シンポジウム「時間のなかの建築」(2014年11月29日)を主催し、論文「 時間のなかの建築──再利用から生じる歴史の重層性」を発表した。 (3)「近代的建築観からの脱却」:21世紀の現在、20世紀における建築学の常識が、多くの場面で常識として通用しなくなり、建築の現場ではさまざまな新しい試みが登場している。建築史学の分野が成すべきは、近代的建築観を一歩引いた視点から歴史的に位置付け直すことだろう。本アプローチについては、いまだ成果を発表できていないが、現在、H. F. Mallgrave, Modern Architectural Theory: A Historical Survey, 1673-1968, Cambridge University Press, 2005.の翻訳を準備中である。
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