2013 Fiscal Year Research-status Report
日本統治期における台湾・韓国・日本の都市空間形成と居住形態に関する比較研究
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24560790
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊藤 裕久 東京理科大学, 工学部, 教授 (20183006)
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Keywords | 日本統治期 / 都市空間 / 居住形態 / 台湾 / 韓国 / 日本 |
Research Abstract |
本研究では、日本統治期の台湾・韓国・日本における近代都市空間を比較する上で、一般住民の生活の場となった商業街・市場や宗教・祭祀空間などを積極的に分析対象とすることで、伝統から近代への変容という連続的な視角をもちながら近代の都市空間や居住形態の特質に迫ることを目的としている。 平成25年度は、韓国・木浦における居留地周辺に発達した韓屋地区と1910年以降に大きく発展した木浦駅および公設市場の周辺地区について本調査を実施した。1)韓屋地区では北橋洞・竹洞を対象として悉皆的な集落調査を実施し、街区・街路・住居配置形態等を把握するとともに、15棟ほどの都市韓屋について詳細な実測調査を実施することで、日本統治期における宅地の開発プロセスや建築的特徴さらに日式住宅からの影響等が判明した.2)市場周辺地区では商業街の連続立面図を作成し、街屋について実測調査を実施することで表長屋など歴史的街並の建築的特徴が明らかとなった。3)駅周辺地区では鉄道官舎について実測調査を実施し、公的な住宅地開発の一端が明らかとなった。全体として大正・昭和初における日本の計画市街地と自生的な近代韓屋地区の居住形態の比較が可能となり、その関係性を把握することができた。 また平成25年度は、台湾東部の花蓮港街および開拓移民村(吉野村他)について現地調査を実施した。日本統治期の都市形成について両者の相違を明らかにする目的であったが、地域開発の遅れた東部では、これまでの西部調査では確認できない都市と農村の一体的開発を想定した計画過程を読み取ることが可能であった。 その他、東京では都市周縁部の農村と旧武家地の宅地開発によって成立した近代の町々が、祭礼を通じて地域コミュニティに編入されていくプロセスを復原することができた。宗教や祭祀の近代的変容が都市形成や居住形態に大きな影響を及ぼしていることがわかる貴重な成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、主に韓国・木浦における調査によって日本統治期の近代都市計画による市街地形成と居留地周辺の居住形態について解明する研究計画であったが、現地での協力が得られ、1910年代から1930年代の住居遺構(韓屋・町家・鉄道官舎など)の実測調査ができ、地籍図・土地台帳・家屋台帳とあわせて分析によって、その具体的な建設プロセスを解明することができたことは大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、台湾、韓国での調査研究の補足を実施するとともに、日本との近代市街地の居住形態との比較を検討したい。また、研究論文としての発表の他に、現地調査の詳細を記した研究報告書(とくに韓国・木浦)を作成し、今後の歴史的都市遺産の保存活用の基礎資料として現地へ成果を報告することとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、現地での実測調査・史料調査等に多くの時間を要し、予想以上の研究成果を得たが、そのためにデータ整理や研究成果の公開をすすめるのに十分な時間がとれなかったため、物品費や謝金、その他を予定額通りに使用できなかった。 平成26年度は、次年度使用額を利用して図面の清書およびデータベース化、さらに現地に配布する調査研究報告書の作成等の費用として使用したい。
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Research Products
(4 results)