2013 Fiscal Year Research-status Report
日本統治期朝鮮半島における社会事業関連施設の空間形態と社会的応答
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24560793
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
砂本 文彦 広島国際大学, 工学部, 准教授 (70299379)
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Keywords | 社会事業 / 公設洗濯場 / 朝鮮半島 |
Research Abstract |
近代期の社会事業思想の広まりは様々な施設形態を生み出し、日本内地では行政、篤志家らが整備を担い、啓蒙・救済的側面から宗教団体も取り組んだ。施設は公設市場、公共浴場、簡易宿泊所、公設住宅、授産・職業補導等で地域社会の再編を促した。植民地でも同様だったが、朝鮮半島では公設洗濯場がカテゴリとしてあった。朝鮮半島の洗濯といえば、女性が近隣河川で白衣を長々と洗うのが定番であり、そこに現れた社会事業による公設洗濯場とはどのようなものか。あえて洗濯場を社会事業に組み入れて公設化した理由を、植民地期朝鮮半島の実際から見ていった。調査を通じて得た46箇所の公設洗濯場を一覧化した。公設洗濯場は、公共-、共同-と呼ばれる場合もあり、設置者は行政と篤志家個人・団体で、朝鮮半島で華々しく社会事業活動を展開した宗教団体によるものは確認できていない。河川を利用した在来の洗濯場は無料だが、公設洗濯場の場合も多くが無料で、一部は料金を徴収する。設置費は数百円から数千円まである。敷地は数十坪から百数十坪で、洗濯場に加え物干し場も併設する場合もあり、時に煮洗い用の釜を常備した。洗濯用水は河川水または水道水で、揚力に電力ポンプも備える場合もある。施設整備は徐々に進展したようで、1920~30年代にかけて朝鮮半島全土に拡がっていった。だが、それが全ての都市にあるわけでもなく、比較的小規模集落に設けられる場合もある。このばらつきが史料上の限界なのか、洗濯を行う生活環境問題等の地域差なのかは、考察中である。 公設洗濯場は、洗濯上の不便が社会生活上の問題と見なされたことで計画が始まっている。河川への下水流入が続き、伝染病防止のため河川での野菜類洗浄が禁止されたような都市化に起因するもの、白衣を白く仕上げる洗濯作業自体が多くの時間を要すことをで労働者確保の支障となっていたことなどが、個別施設の計画に影響を与えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書通りに、資料の収集、現地調査が進んでいることから、評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に、資料収集と現地調査の仕上げを行う予定である。また、年度末にかけて、日本建築が会計角形論文集に投稿し、研究成果を公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大学休業期間中に入れるはずであった現地調査、文献調査が、想定日数分入れることができなかったため。 未実施分の現地調査、文献調査に充当する。
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