2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本統治期朝鮮半島における社会事業関連施設の空間形態と社会的応答
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24560793
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
砂本 文彦 広島国際大学, 工学部, 准教授 (70299379)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 朝鮮半島 / 社会事業 / 公設洗濯場 / 近代 |
Outline of Annual Research Achievements |
繰越しを行った最終年度は、査読論文の掲載ならびに補足調査、そして建築学会シンポジウムでの発表を行った。 査読論文は『日本建築学会計画系論文集』2015年4月号(710号)に掲載された「植民地期朝鮮半島における公設洗濯場に関する研究 社会事業施設としての公設洗濯場の施設計画について」である。本論文では、朝鮮半島における代表的な社会事業施設である公設洗濯場の施設整備状況や施設計画の概要について概括し、その計画上の特性を分析した。また、こうした社会事業による公設洗濯場といったハード面の施設整備が、色服奨励などのソフトな施策の実施と関係性を持っていたであろうことを指摘している。また、植民地朝鮮における社会事業には、複雑な社会状況との対応関係がありつつ、これが朝鮮、台湾、中国東北地方といった拡がりのなかでの多様に展開していることがうかがえる。 したがって、社会事業による施設整備について、内地との比較、あるいは植民地間の比較を単純に行うことは困難であり、朝鮮半島だけで行われた公設洗濯場の整備を同様の比較考察に落とし込むことも困難であることから、本研究のような社会事業施設の具体的な計画方法からその特質の一端を知ることの有効性を確認できたと思われる。 2015年11月29日には、東アジアなどを対象に考察を進める研究者が一堂に会した、日本建築学会建築歴史・意匠委員会近代建築史小委員会シンポジウム「近代建築史の最先端」「第11回 東アジア近代建築史研究の回顧と展望―『東アジアの近代建築』から30年」にても同様の発表を行った。
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