2014 Fiscal Year Annual Research Report
異元素ドープ二酸化チタン単結晶を用いた紫外光誘起キャリアの永続化とその挙動
Project/Area Number |
24560800
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
関谷 隆夫 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60211322)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光誘起永続物性 / 輻射緩和 / 二酸化チタン / 不純物ドーピング / 光誘起キャリア |
Outline of Annual Research Achievements |
異原子価元素であるAlを5%までの濃度でドープしたアナターゼ単結晶を化学輸送法によりを作成した。紫外光誘起ESR スペクトルを測定したところ、Alの核スピンの影響を受けた超微細結合分裂hfsが観測され、その角度依存性、液体ヘリウム温度~室温での光照射下、暗所での温度依存性について、これまでと同様の結果を得た。紫外光誘起ESRシグナルの永続性については、若干の個体差はあるものの概ね80K以下の温度で観測された。単結晶重量と光誘起ESRシグナル強度について検討し、Alの添加量の増加に伴いシグナル強度の増加が認められたが、XPSを用いたAl量の評価では、単結晶からはすべてAlの信号が得られたが、シグナル測定強度のばらつきが大きく精密な定量が困難であった。Alをドープした試料の発光スペクトルは2.25eV付近に観測され、温度上昇とともに低エネルギー側にシフトした。その強度の温度依存性は、熱活性化型の無輻射緩和過程の存在を示唆している。ESRシグナルが永続化する温度で、紫外光を照射した後、暗所で試料温度を上昇させることで、2.05eV付近に輻射緩和発光が観測でき、光誘起永続化キャリアの再結合によるものと考えられる。この発光のスペクトルは紫外光照射時の温度の上昇とともに低エネルギーシフトした。発光と永続化キャリアの再結合のスペクトルのピーク位置の違いは、後者が主にAlに起因する不純物準位に起因するためと考えられる。Alドープ単結晶試料は育成直後、酸素熱処理後ともに高抵抗であり、永続化キャリアの緩和過程における電気的測定については、電極形成についても妥当であるかの評価が得られなかった。 Nbをドープした単結晶では、酸素雰囲気下での熱処理により電気伝導、光吸収に変化が観測できたが、紫外光照射の影響はほぼ観測できず、その伝導度の大きさが光誘起キャリアの局在、永続化を妨げていると考えられる。
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