2012 Fiscal Year Research-status Report
DBTT周辺のSiシャッフル転位とグライド転位の本性と破壊靭性値の関係
Project/Area Number |
24560803
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂 公恭 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (90023267)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 勝寛 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00211938)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 格子欠陥 |
Research Abstract |
(1)Si中の転位の本性を以下のように同定した。1)ステージI:液体窒素~300K:直線的なshuffle転位。2)ステージII:300K~370K:やや折れ曲がったshuffle 転位。。3)ステージIII:370K ~750K:細かく折れ曲がったshuffle転位。4)750K以上:分解したglide転位。 (2)細かく折れ曲がったshuffle転位は60°転位であり、らせん転位ではない。この折れ曲がりをshuffle-glide遷移の前駆現象と考えると、らせん転位の交叉辷りがshuffle-glide遷移を支配する機構とは考えがたい。 (3)これらの成果はJournal of Materials Science*にて公表した。*T.Okuno and H.Saka, J.Materials Science,48(2013)115-124, Electron microscope study of dislocations introduced by deformation in a Si between 77 and 873 K.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画と対比して達成度を評価すると以下のようになる。①Shuffle-set 転位の形態を詳しく調べるため、液体窒温度から700℃までの温度範囲で導入した転位について、詳細に調べる。100%達成した。②複雑な形状の転位の3 次元的な情報を得るために、名大に設置された反応科学超高圧電子顕微鏡の3D トモグラフィーを活用する。100%達成した。③また転位芯の原子的な構造については弱ビーム法と高分解能観察法を併用する。100%達成した。④DBTT 以上の温度で導入される転位はglide-set 転位であるが、DBTT 近傍ではShuffle-set 転位とglide-set 転位が競合しており、glide-set 転位の性質も詳細に研究し、比較する必要がある。特に、glide-set 転位の分解幅を決定する積層欠陥エネルギー(SFE)の温度依存性に関する情報は重要である。電子顕微鏡内その場加熱実験により、SFEの温度依存性を決定する。未達成ではがあるが、予備的なデータが得られた。達成度30%
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)shuffleからglideへの遷移には交叉辷りによる機構と点欠陥の吸収による上昇運動による2つの機構が提唱されている。最近の研究結果によれば、交叉辷りによる機構は否定的である。25年度は、点欠陥による上昇機構がshuffleからglideへの遷移を支配していることを確認する。その具体的な方法として、 a)高温からの焼き入れにより点欠陥(空孔)を導入したSiの試料内の転位を詳細に観察し、環境のshuffle-glide遷移への影響を解析し、点欠陥の役割を同定する。 b)Siの強度は空気中あるいは水素などの環境の影響を受けることが知られているが、その機構はいまだ解明されていない。24年度の研究成果から、この環境効果に水素等が関与していることが示唆される。そこで、25年度は水素中and/or水中で導入した転位について24年度の同様の解析を試みる。 (2)Siと同様の構造を有する材料についても転位の本性の同定を行い、より包括的な結論を導出すること試みる。具体的には、実用化の面でも注目を集めているSiCについて実験を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)高純度Si試料、ナノインデンタ消耗部品など(40万) 2)電子顕微鏡の使用料(60万) 3)学会出張 a)国内:日本電子顕微鏡学会(5万)、日本金属学会(5万) b)海外、アメリカ電子顕微鏡学会(50万)
|