2013 Fiscal Year Research-status Report
磁気科学的手法によるセメンタイトの磁性の解明およびその析出挙動の制御
Project/Area Number |
24560804
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺井 智之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20346183)
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Keywords | 材料組織制御 / セメンタイト / 永久磁石 / 磁気異方性 / 強磁性体 |
Research Abstract |
H25年度は炭素過飽和フェライト単結晶を作製し、これに<111>および<110>方向から7Tの磁場を印加しながら熱処理を施すことにより、単結晶フェライト中からのセメンタイトの析出挙動が磁場によりどのように影響を受けるかを調査した。その結果、どちらの場合においても析出したセメンタイトの総数が有意に変化していることが確かめられた。また、セメンタイトの各バリアントの比率の変化をみると磁場印加方向に対して結晶磁気異方性エネルギーの高いバリアントの数が減少していることがわかった。このことは、磁場中熱処理によりセメンタイトの析出組織を制御できることを示している。 また、純セメンタイトを粉砕して単結晶の微粒子(粒径1から数マイクロメートル)にし、これをエポキシ樹脂に混練して回転磁場中に放置すると回転磁場と垂直方向にセメンタイトのa軸が配向することがわかった。昨年度の結果と合わせて考えるとセメンタイトの次回容易軸はc軸であり、磁化困難軸はa軸であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の25年度以降の目標のうち、(1)回転磁場を利用したセメンタイト粉末の3 軸配向および磁化測定については磁化容易軸および磁化困難軸の同定に成功し、磁化曲線の測定の見通しも立っている。他の目標についてもそれぞれ試料の作製およびに予備測定を行っており、26年度内に研究目標を達成する見通しが立ちつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は磁場中熱処理によってセメンタイト析出を制御したフェライトの機械的性質(ビッカース硬さ)を測定し、鉄鋼材料において磁場を使った組織制御によりどの程度その機械的に影響を与えるかの評価を行う。また、永久磁石としてのセメンタイトの性能を評価するための純セメンタイ焼結体の作製と磁気的性質の測定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試料の作製に必要な薬品類の使用量が実験方法の工夫により大幅に減少したこと、また作製した試料の磁化測定に使うジグ類を自作することに成功したことにより物品費の使用金額が減ったため 実験方法の改良により削減された金額を使い、より多くの試料の作製ならびに研究発表および論文投稿を行う予定である。
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