2012 Fiscal Year Research-status Report
希土類正20面体スピンクラスターがつくる長距離磁気秩序に関する研究
Project/Area Number |
24560808
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田村 隆治 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (50307708)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 正20面体クラスター |
Research Abstract |
Tsai型正20面体クラスターからなる一連の合金群においては希土類正20面体が存在することから、正20面体上の局在スピンがどのような磁気秩序をつくるか非常に興味深い。しなしながら、上記の合金群においてはこれまでスピングラス的な振る舞いが知られているのみであった。ところが最近、カドミウム-テルビウム近似結晶において反強磁性磁気秩序が見つかったとで、その磁気構造に関心がもたれている。このような背景のもと、本年度は、高品質なカドミウム-希土類 2元系近似結晶の単結晶の作製、低温磁気物性測定、並びにカドミウム-(ガドリニウム/テルビウム/ホルミウム)についての放射光X線磁気散乱実験を行った。実験の結果、ほとんど全ての合金で反強磁性転移を見出し、また、ネール点はde-Gennes因子におおよそ従うことがわかった。さらに、合金系によっては逐次磁気転移や磁化曲線における磁気ヒステリシス、それから多段磁気転移現象が見いだされ、正20面体クラスターに起因するフラストレーションの効果によるものと解釈される。 一方、放射光X線磁気散乱実験では、カドミウム-(テルビウム/ホルミウム)近似結晶で、磁気転移温度以下において明瞭な磁気ブラッグ反射が観測された。また、カドミウム-ガドリニウム近似結晶においては、磁気転移点以下でインコメンシュレートな磁気秩序を形成していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料作製および物性測定に関しては当初の予定通り順調に進んでいる。一方、放射光実験からは大変興味深い磁気構造をとっていることが明らかとなったが、複雑の磁気構造ゆえさらなる実験が必要となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
カドミウム-希土類近似結晶の反強磁性秩序相におけるスピン配列の解明には、放射光実験のマシンタイムが当初よりも多く必要であると考えられる。その理由として、共鳴X線による磁気ブラッグピーク強度が極めて弱いこと、カドミウム-ガドリニウムに代表されるようなインコメンシュレート相が存在することがあげられる。放射光X線のみを用いた磁気構造解明は困難であることが予想され、場合によってはカドミウムの同位体置換を用いた中性子回折などの手法も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(8 results)