2013 Fiscal Year Research-status Report
希土類正20面体スピンクラスターがつくる長距離磁気秩序に関する研究
Project/Area Number |
24560808
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田村 隆治 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (50307708)
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Keywords | 準結晶 / 近似結晶 / 正20面体クラスター |
Research Abstract |
Tsai型正20面体クラスター中の希土類正20面体上の局在スピンの振る舞いを調べる目的で、カドミウム-希土類近似結晶の磁気特性を調べた。その結果、ほとんどの化合物で反強磁性転移を観測し、その転移点はde Gennes因子で良くスケールできること、したがってRKKY相互作用でよく記述できることが分かった。また、いずれの化合物においても、磁化過程において反強磁性体に特徴的なメタ磁性転移が観測され、また、メタ磁性転移が顕著なヒステリシスを伴っていることから、基底状態においては複数の磁気秩序状態が縮退していることが判明した。この結果は、正20面体スピンクラスターにおける幾何学的フラストレーションの存在を示唆しいている。また、カドミウム系以外で新たに金系の近似結晶の磁気特性も調べたところ、新たに強磁性転移、リエントラントスピングラス転移が見いだされ、その詳細を明らかにすることが今後の課題となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料作製および物性測定に関しては、当初の予定を上回り、新たな物質系でも行い、新しい知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
Au系近似結晶の強磁性転移やリエントラントスピングラス転移に加えて、新たな磁気転移の存在を明らかにしていく。また、強磁性体等の磁気構造を解明するために、平成26年度は中性子回折実験を予定している。本実験により、スピンクラスター上の磁気配列が決定されることが期待される。
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Research Products
(7 results)