2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560810
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 |
Principal Investigator |
渡辺 博行 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, その他部局等, 研究員 (90416339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 敏司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40254429)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マグネシウム / ダンピング / 生体内分解性 |
Research Abstract |
本課題はマグネシウムが生体内分解性の骨接合材などのインプラント(埋込)材として利用されるために不可欠な高強度、およびインプラント/骨界面の密着の促進に対して有効に作用する高いダンピング特性の同時発現を組成制御と塑性加工による組織制御の融合によって達成することを目的としている。そこでまず、マグネシウムのダンピング特性に及ぼす組織学的因子を明確にしておくため、純マグネシウムを用いて結晶粒径、集合組織、双晶の存在などの影響を系統的に評価した。成果の具体的内容は以下のとおり。 1 結晶粒径の影響:押出し条件を変えることで結晶粒径の異なる2種類の押出し丸棒を準備した。これらのダンピング特性の評価の結果、結晶粒径が大きい方がダンピング特性を向上できることを明らかにした。 2 集合組織の影響:押出し材の押出し方向とダンピング測定用試験片の長手方向とのなす角度を変化させることで集合組織の影響を評価した。これらのダンピング特性の評価の結果、集合組織の違いは低い振幅ひずみ域と高い振幅ひずみ域の両方のダンピング特性に影響を及ぼすことが分かった。 3 双晶の存在の影響:押出し材に対して変形双晶を導入した材料を作製し、この材料からダンピング測定用試験片を採取して双晶の存在の影響を評価した。双晶導入によって高い振幅ひずみ域でのダンピング特性を向上できることを明らかにした。 これらの成果は金属学会、TMSの講演会で口頭発表を行い、成果の普及を行った。 今年度得られた成果は、次年度以降に実施の合金化と結晶粒微細化による高強度化および純マグネシウムに匹敵するダンピング特性を両立させるために必要な材料組織を解明するために有用なものであり、研究目的達成の指針が得られた点で意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリL乳酸を凌駕する強度と純マグネシウムに匹敵する高ダンピングを同時達成するための合金組成と材料組織を明らかにするため、まず純マグネシウムにおいてダンピング特性を支配する組織学的因子を明らかにすることから着手した。計画どおりに結晶粒径・集合組織・双晶の存在がダンピング特性に及ぼす影響を検討し、この結果、マグネシウム合金で高ダンピングを達成するための組織学的因子を解明できたことから、本課題は順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
Caを1mass%程度添加したマグネシウム合金において、塑性加工プロセスを駆使して、結晶粒微細化による高強度化と生体材料に適した材料組織の造り込みを図る。この組織制御したマグネシウム合金について引張・圧縮試験を行い、強度特性と組織の関係を明らかにする。高強度化が達成された材料についてはダンピング特性を評価する。強度特性・ダンピング特性と材料組織の関係性を元に、目標とする強度とダンピング値が同時に達成できるように適宜、塑性加工プロセス条件の見直しを行って、耐力とダンピング特性の目標値を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マグネシウム合金の組織制御を行うために必要な塑性加工プロセスに伴う消耗品、そして組織制御を行った合金においてダンピング特性や機械的特性を明らかにするために必要な試験片加工や組織観察のための消耗品、および得られた成果を論文や講演会で発表するために研究費を使用する計画である。
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