2013 Fiscal Year Research-status Report
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24560810
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Research Institution | 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 |
Principal Investigator |
渡辺 博行 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 加工技術研究部, 研究主任 (90416339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 敏司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40254429)
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Keywords | マグネシウム / ダンピング / 生体内分解性 |
Research Abstract |
不純物量の少ないマグネシウム、およびカルシウムを最大1%添加した不純物量の少ないMg-Ca合金を用意した。純マグネシウムに関しては押出し加工にともなって特に微小ひずみ域での力学特性がどのように変化するかを調査した。また、Mg-Ca合金ではカルシウム添加量との関係を調査した。さらに、これらの材料に関して、高強度化と一般には両立しないダンピング特性への影響を検討した。この結果、押出し加工もカルシウム添加も強度を向上させるが、ダンピング特性を低下させることが分かった。具体的には以下のとおりである。 押出し加工もカルシウム添加もしない純マグネシウムの場合、極めて優れたダンピング特性を示すが、1MPa以下の変形応力で微視的降伏が起こり、インプラントとしては強度が著しく不足していることが分かった。 押出し加工にともなって、強度の指標である0.2%耐力は約20倍も上昇し、効果的に強度を向上できることが明らかになった。一方、ダンピング特性の指標である損失係数は押出し加工にともない、低ひずみ域において約2/3になるが、比較的良好な値を維持していた。 1%のカルシウム添加によって、耐力は7.6倍向上し、有効に強度上昇を図れることが明らかになった。しかしながら損失係数は、低ひずみ域において約1/3にまで低下した。 これらの結果から、押出しなどの加工熱処理条件とカルシウム添加量を適切に選択すれば、高強度化とダンピング特性を両立できる可能性を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリL乳酸を凌駕する強度と純マグネシウムに匹敵する高ダンピングを同時達成するための合金組成と材料組織を明らかにするため、本年度は加工熱処理とカルシウム添加量が物性に及ぼす影響の評価に着手した。計画どおりに研究を遂行し、これら因子の影響度を解明できたことから、本課題はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は純マグネシウムおよびMg-Ca合金を用いて、押出し加工やカルシウム添加が強度とダンピング特性に及ぼす影響を検討した。この結果、押出し加工もカルシウム添加も強度を向上させるがダンピング特性を低下させることが分かった。この結果を元に、H26年度はカルシウム添加で強度を向上させ、押出し加工でダンピング特性を大きく低下させないような条件で材料を作製する。その後、マグネシウム相の結晶粒径やカルシウムの分散形態を顕微鏡観察によって評価することで作製した材料の組織を理解し、並行して強度やダンピング特性などの機械的特性を評価する。適切な材料組織を形成させることで高強度・高ダンピングを両立できるようにする。当初計画からの大きな変更はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
得られた成果に関して年度内の論文投稿を計画していたが、実験結果の一部が年度末までに揃わなかったため投稿できなかった。 論文投稿に係る費用として支出予定である。
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Research Products
(2 results)