2012 Fiscal Year Research-status Report
高温その場観察・計測技術による繊維強化セラミックスの構造最適化
Project/Area Number |
24560817
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垣澤 英樹 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (30354137)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高温観察 / 高温変形 / 繊維強化セラミックス |
Research Abstract |
繊維強化セラミックス複合材料のミクロな損傷挙動が1000℃を超える高温環境下でどのように生じるか明らかにするため、高温での変形、破壊過程をその場観察できる装置の開発を行った。高温下では材料自身の輻射光が顕著となり、通常の光学的手法では観察が困難となる。そこで、1500℃以下の輻射光が400nm以下の紫外光を含まないことに着目し、輻射光をカットし紫外光照明で高温観察を行える光学顕微システムを構築した。 システムの主要な構成は、(1)市販のデジタルビデオマイクロスコープ、(2)可視~赤外光を遮断し、紫外光を透過する光学フィルタ、(3)紫外線用CCDカメラ、(4)紫外線光源からなる。365nmの波長に強い発光を示す超高圧水銀ランプを紫外線光源に用い、鏡筒内に紫外光を導入し落射照明を行い、光学フィルタで輻射光を遮断しながら紫外線用CCDカメラで撮像することにより、輻射光の影響を受けずに高温での物体観察を行うことに成功した。 構築したシステムで得られた高温像からひずみ量を測定するため、画像相関法(DIC)の適用を試みた。DICを行うためには、観察するディメンジョンに応じた(今回の場合はミクロンオーダー)適切なランダムパターンを材料表面に描画する必要がある。1000℃以上 、大気中で安定なパターニングを施す方法として、セラミックススラリーのスピンコートおよびスプレー塗布、エアロゾルデポジションによるセラミックス膜の不均一コーティング、研磨剤による研削を行い、高温安定性を調べた。観察試料表面を3ミクロンのSiC研磨剤で研削することで1400℃で安定なランダムな微細スクラッチパターンが得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の意図通りの観察が行える装置を構築することができた。高温で使用できるランダムパターンについても方向性が確認できている。 計画通り順調に進行しており、今後も計画にしたがって進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度確立したシステム、観察条件を用い、繊維強化セラミックスの高温下での組織変化や変形、損傷挙動を調べる。 (1)加熱、冷却時の熱応力の変化や高温保持中の反応や焼結によって材料組織がどのように変化するか観察する。特に、複合材料製造時に残留した空孔や亀裂等の欠陥の変化、繊維とマトリックスの界面層の変化に注目する。 (2)材料を加熱しながら引張負荷を加え、材料の変形、破壊の様子を観察する。その際、温度(1000~1200℃)、負荷速度(0.05~0.5mm/min.)を変化させる。また、材料の引張強度以下の一定応力を負荷し続け、高温クリープ時の変形やミクロな破壊挙動を調べる。高温下での負荷はイメージ炉内で行うことを予定しており、25年度は負荷装置の構築を中心に研究を進める。イメージ炉内の均熱部に試料のゲージ部を配置し、つかみ部等を熱反射コートを施した遮蔽板で覆うことにより、負荷装置の温度上昇を抑えることを試みる。必要に応じて冷却機構の付与を検討する。 (3)(1)で観察された組織の変化が繊維強化セラミックスの最大の特徴である微視破壊の累積機構にどのような影響を及ぼし、マクロな力学特性の発現に寄与するか調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
加熱を行いながら観察システム下で試料に負荷を加えるために、試験片つかみ部の冶具の検討、冶具および負荷システムの遮熱、断熱機構の検討を中心に、力学的負荷機能を備えた高温加熱システムの整備を行う。主な支出予定は、負荷システムの試作および加熱炉の改造にかかる費用である。 また、前年度の成果の発信、競合する研究の情報収集を行うため、旅費を計上する。
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Research Products
(3 results)