2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560819
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
篠田 豊 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (30323843)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 粘弾性 / グラッシーカーボン / ガラス状炭素 |
Research Abstract |
当該年度は、グラッシーカーボンの粘弾性変形挙動の基礎的データ所得のために島津サーボパルサーを用いて室温及び1900℃-2100℃の高温域での変形データを取得した。室温ではひずみ速度に依存しない変形挙動が観察されたのに対し、高温下ではひずみ速度の増加と共に応力が増加し、定常応力とひずみ速度の関係から応力指数8.5を得た。また、温度と応力500MPaでのひずみ速度の関係から見かけの活性化エネルギー700KJ/molを得た。これらの値から、グラッシーカーボンの粘性変形成分についての定量的な議論を行う事ができる。応力指数が粘性流体のそれと比較して著しく大きい事から、グラッシーカーボンの粘性変形中にはある種の構造緩和が生じている事が示唆された。また、ひずみ0.7までほぼ定常を示す事から粘弾性変形中の応力と歪み速度の間には直線的な関係が働くと見なして良い事が明らかとなった。グラッシーラカーボンとの比較としてグラファイト材料の変形挙動を調査した結果、グラファイトでは高温域においても粘性成分がほとんど観察されないこと、さらに変形挙動のひずみ速度依存性が観察されない事から、グラッシーカーボンが示す粘弾性変形挙動はナノの微細構造と密接に関係がある事が明らかとなった。室温での変形により、試験機系の弾性変形を取り除いて得られた弾性定数はおよそ29GPaであった。これらのデータをもとに粘弾性変形のモデルを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年末に試験機の冷却系統に不具合が生じ、復旧に3ヶ月を要したため、低温測定用の放射温度計の設置並びに低温領域でのデータの取得が遅れしまった。ただし、高温域でのデータより、温度依存性が大きい事がわかり、1000℃以下の温度域では粘弾性を発現させるのに非常に高応力を必要とし、破壊応力以下での変形では実質上粘弾性挙動がほとんど現れないことが予想されるため、多くの実験温度でそれを実証する必要はないと考えられる。そのため、次年度の早い時期にそれらのデータは取得可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は東海カーボン製のグラッシーカーボン(GC20)を用いて変形挙動を調査してきた。NASAグレンリサーチセンターのMrityunjay Singh博士より、異なる数種類のグラッシーカーボン材料を入手できた。次年度はまず、これらの微細組織評価を行い、これまでの材料との比較を行うとともに粘弾性変形挙動の発現の有無について調査を行う。さらに、東海カーボン製のグラッシーカーボン材料に手調査してきたひずみ速度依存性、温度依存性等の基礎データの取得を行う。微細組織と粘弾性挙動との相関について考察し、気孔径、結晶子径等のパラメーターを加味した粘弾性モデルの構築を試みる
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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