2012 Fiscal Year Research-status Report
トポタクティック変換法による層状複水酸化物からの機能性層状酸化物の創成
Project/Area Number |
24560822
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
武井 貴弘 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (50324182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 章 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (10603201)
熊田 伸弘 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (90161702)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 層状複水酸化物 / 遷移金属 / 複合体 |
Research Abstract |
本研究課題では、種々の化学組成を有する層状複水酸化物を作製し、その層間を利用して機能性層状複水酸化物の合成を行うこと、また脱水反応により、新規的な酸化物の出発原料として用い、新規機能性酸化物の創成に関する検討を行う内容である。平成24年度は、主に遷移金属(Fe、Co、Ni)を含む層状複水酸化物を合成した。最適pHを検討した結果、2価金属イオンがCo、Niのどちらであっても、3価金属イオンにAlを使用した場合は7、3価金属イオンにFeを用いた場合は10程度であることがわかった。 また、本年度は作製した層状複水酸化物にドデシル硫酸ナトリウムをインターカレーションし、ブタノール中で剥離後、炭酸ナトリウムおよび水分で再凝集させることで、遷移金属水酸化物を表面に持つ新しい多孔体の合成を行った。その結果、特にNiを含む層状複水酸化物を出発原料に用いることで、比表面積が最大でおよそ100m2/g程度まで増加した。 さらに、これらの遷移金属を含む層状複水酸化物の層間に[H2W12O42]10-または[PMo12O40]3-からなるポリカチオンを挿入した試料を作製した。この複合化試料の、シクロヘキサノールのシクロヘキサノン転換に関する触媒活性を測定したところ、特に[PMo12O40]3-を導入した層状複水酸化物を用いた場合では、優れたシクロヘキサノンへの転換活性を示すことが分かった。この優れた触媒活性は、遷移金属とポリカチオンとの相乗効果により提供されている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の検討内容としては、本来は2価のMnをベースとした層状複水酸化物を作製する予定であったが、2価のMnは、pHが大きくなると酸化されやすいため、現時点での作製は困難であった。そこで、平成25年度の検討内容であったNi系やCo系の検討を先に行うこととした。また、酸化反応による酸化物の合成等についてはまだ検討中であり、特筆する結果は出ていない。しかしながら、これまでほとんど報告がない、遷移金属を壁に用いた層状複水酸化物からなる多孔体の合成や、遷移金属を含む層状複水酸化物がシクロヘキサノールの分解もしくはシクロヘキサノンへの転換活性を示すことが確認された。これらの成果は、論文および学会発表を行った。また、平成25年度以降の研究へもつながるものであると考えている。このような観点から、本来の研究計画からは、その方向がやや外れたものの、達成度は比較的高いのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、H24年度の予定であったMnを2価として含む層状複水酸化物の合成をおこないたいと考えている。それには、あらかじめ還元剤を入れておく方法とか、酸化しやすいイオンである亜硫酸イオンなどを層間の陰イオンに使用することを検討する。初めからの予想の範疇であるが、思った金属イオンが想定した価数で層状複水酸化物を形成するとは限らない。そこで、pHと遷移金属との関係や、適切な酸化剤もしくは還元剤などを入れることで、想定する化学組成の層状複水酸化物を作製することを目指す。また、溶解度の低い塩を用いたりすることも併せて検討したいと考えている。 またさらなる今後の方策として、層間に種々のイオン(ポリアニオン、アニオニックナノシートなど)をインターカレーションすることによる機能性水酸化物への変換や、また可能であれば酸化物へのトポタクティックな変換を試みる予定である。またトポタクティックな変換は、層間側に存在するOH基をOに変換することで可能となる。そのためには、層間に酸化剤を導入すればよいと考えている。たとえば、過塩素酸は強力な酸化剤の陰イオンであり、過塩素酸イオンを層間に導入することで酸化物に変換できる可能性も考えられる。このように、加熱して酸化物とする方法のみならず、化学的な酸化法によって酸化物化することも検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)