2013 Fiscal Year Research-status Report
ペロブスカイト型強誘電体中のカチオン空孔形成挙動の解明と誘電特性への影響の明確化
Project/Area Number |
24560826
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒木 秀樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20202749)
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Keywords | 強誘電性 / ペロブスカイト構造 / 原子空孔 |
Research Abstract |
【研究の目的】PbTiO3は、優れた強誘電体であり、反強誘電体PbZrO3との固溶体Pb(Zr, Ti)O3として、不揮発性メモリー、アクチュエータ、センサなどに応用されており、今後もMEMS分野の様々なデバイスへの応用が期待されている。Pb(Zr, Ti)O3にLa3+を添加すると、電気伝導性、誘電特性などが大きく変化することが報告されており、その原因は、Aサイト(Pbサイト)に空孔が形成されるためではないかと推定されているが、Bサイト(Tiサイト)にも空孔が形成されているとの報告もあり、空孔形成挙動について不明な点が多い。そこで、本研究では、Laを添加したPbTiO3の陽電子寿命測定を行い、カチオン空孔の形成サイトについて明らかにした。 【実験方法】PbO粉、TiO2粉、La2O3粉を秤量し、乳鉢内で混合し、1323Kで5時間、空気中で焼結した。得られた焼結体の陽電子寿命測定は、22Na線源を用いて、fast-fast timing coincidence systemにより室温で行った。 【結果と考察】作製したLa添加PbTiO3試料から得られた陽電子寿命スペクトルには、Aサイト空孔で消滅したと考えられる300ps近い長い陽電子寿命の成分だけでなく、それより短いおよそ200ps程度の陽電子寿命成分も観測された。これは、Bサイト空孔で消滅した陽電子の寿命成分であると考えられ、Aサイトだけでなく、Bサイトにも空孔が形成されていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、交付申請書に記した研究実施計画通り、ペロブスカイト型誘電体PbTiO3において、Pb/Ti比を変化させ、これに伴って、Pb空孔(Aサイト空孔)、Ti空孔(Bサイト空孔)濃度がどのように変化するのかを明らかにできた。また、平成25年度は、交付申請書に記した研究実施計画通り、PbTiO3にLaをドープした際のカチオン空孔形成挙動を明らかにできたので。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、交付申請書に記した研究実施計画通りに、ペロブスカイト型強誘電体PbTiO3にBサイトにBサイトを占有すると言われているNbをドープした際の空孔形成について研究を行う予定である。
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