2012 Fiscal Year Research-status Report
希土類固溶セリア電解質のイオン輸率向上による燃料電池性能の改善
Project/Area Number |
24560828
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鮫島 宗一郎 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (00274861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 好洋 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (80145458)
松永 直樹 宮崎大学, 工学部, 准教授 (40405543)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 燃料電池 / 固体電解質 / イオン伝導 / セリア |
Research Abstract |
これまで報告者らは、希土類固溶セリアの電子伝導性およびイオン輸率の酸素分圧依存性を検討してきた。電子伝導は水素が固溶して促進されることを示唆した。本研究ではガドリニウム固溶セリア(Gd-doped ceria, GDC)電解質の電子伝導性を抑制するため、次のことを検討する。 1)Gdの固溶量によりGDCへの水素の固溶を抑制する。2)アノードにプロトン導電体を添加し、GDCへの水素の固溶を抑制する。3)カソードでの空気の拡散を促進する気孔構造を作り、イオン輸率を増加させる。これらの結果より、GDCのイオン輸率を向上させ燃料電池の性能を改善することを目的とする。 初年度は、上記1)について検討した。ガドリニウム固溶量の異なるGDC(Ce1-xGdxO2-x/2、x=0.05, 0.10, 0.15, 0.20)を用いて電解質を作製し、アノードにNiO-GDC,カソードにLa-Sr-Co-Fe-O系ぺロブスカイト酸化物を用いて固体酸化物形燃料電池(SOFC)を作製した。アノードに燃料として、3vol%-H2Oを含むH2を供給し、SOFCの開放起電力および出力密度を500-800℃の範囲で測定した。 格子定数はガドリニウム固溶量の増加と共に増加し、ガドリニウム固溶量と共に酸素空孔量が増加することを示した。x=0.1の時、開放起電力と最大出力密度とともに、最大値(0.829 V, 166 mW/cm2 at 600℃、0.787V, 506 mW/cm2 at 800℃)を示した。x=0.1から0.2で生成した過剰な酸素空孔は、酸化物イオン電導度の増加には寄与せず、燃料の水素と反応して電子を生成し、発電性能を低下させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガドリニウム固溶セリア電解質のGd固溶量が、固体酸化物形燃料電池の発電性能に及ぼす影響を明らかし、固溶量x=0.1で発電性能が最大になることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
アノードにプロトン伝導体を添加した燃料電池の性能を評価する。GDC電解質への水素固溶を抑制するため、アノードにプロトン導電体を混合する。プロトン導電体としてはSrCe0.95Yb0.05O3-δ(SCYb),Ba0.8Ce0.2YO3-δ(BCY)など600-1000℃で高いプロトン伝導性を示すものを用いる。 アノードにプロトン伝導体を用いた発電セルを調製し、開放起電力、出力密度を測定する。プロトン導電体はGDCおよびNiとの反応性を調査して用いる。アノード雰囲気でのプロトン伝導体の伝導性を測定する。プロトン導電によるGDCへの水素固溶抑制により、GDCの電子導電性が低下し、開放起電力の増加、出力密度の向上が期待される。 また、種々のカソード材料を用いた燃料電池の性能評価を行う。カソードでの空気の拡散を促進する気孔構造を作り、イオン輸率を増加させる。これに関連して、カソードおよびアノード酸素分圧が発電性能に及ぼす影響を調査する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
差引額95円は、試薬等の消耗品に使用予定である。
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Research Products
(3 results)