2012 Fiscal Year Research-status Report
新規反応性高分子を用いたカーボン表面改質を基盤とする複合機能化に関する研究
Project/Area Number |
24560834
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 辰宏 山形大学, 理工学研究科, 教授 (60344818)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 反応性高分子 / カーボンナノチューブ / カーボンファイバー / 複合体 / 表面改質 |
Research Abstract |
本年度は、ポリビニルオキサゾリンの合成、中和滴定によるMWCNTおよびCFの表面官能基分析、および分析手法の確立、ポリビニルオキサゾリン、無水マレイン酸変性PP、MWCNT、PP複合体を溶融混練法により作製し、炭素材料界面設計を適用したことによるMWCNT分散効果についての評価検討、について行った。 ポリにビルオキサゾリンの合成に関して、反応条件(反応温度、時間、反応物の濃度)を詳細に検討した結果、ラジカル重合により分子量制御されたポリビニルオキサゾリンの作製方法を確立した。合成物には表面改質に寄与するオキサゾリン基がほぼそのまま残存していた。これにより、今後の界面設計がより詳細に検討できるとともに、最適化による物性向上が期待できる。 MWCNTおよびCFの表面官能基分析としては、市販のMWCNT、CFについて評価検討を行い、使用しているMWCNTの官能基を定量し、またCFの官能基分析手法を確立した。特にCFは重量に対して官能基数が少なく評価が難しい材料であるが、新たに確立した方法によって定量化が可能となった。炭素材料の表面官能基量の定量は界面設計においてポリビニルオキサゾリンの添加量を決める上で非常に重要である。 ポリビニルオキサゾリン、無水マレイン酸変性PP、MWCNT、PPを溶融混練で混ぜ合わせて複合体を作製した。MWCNTの分散性を評価した結果、分散性の優劣としては、ポリビニルオキサゾリン+無水マレイン酸変性PP>無水マレイン酸変性PP>ポリビニルオキサゾリンであり、本研究の設計方針の正しさが確認された。また、複合体の導電性を評価したところ、ポリビニルオキサゾリンの分子量によって導電性が2,3桁異なることが分かった。今後、炭素材料の表面改質技術をMWCNT、CFへと応用していき、最適化することで複合体のさらなる高物性化が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度の研究実施計画の内容としては、ポリビニルオキサゾリンの合成、炭素材料の表面官能基分析の確立および材料の評価、MWCNT/PPの界面設計・改質をポリビニルオキサゾリン、無水マレイン酸変性PPを用いて行い、その効果についての評価、であった。それに基づき、ポリビニルオキサゾリンの分子量制御技術の確立、炭素材料の表面官能基分析技術の確立、ポリビニルオキサゾリン、無水マレイン酸変性PPで界面設計・改質されたMWCNT/PP複合体の作製・評価、をH24年度内に予定通り行う事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
PAN系およびPitch系CFの表面官能基分析を行い、ポリビニルオキサゾリンにて改質する。また、PPをベースにしたCFRPを成形し、力学的特性を評価する。メーカーからサイジング剤のないCFを入手し(メーカーからの内諾あり)、CF表面のフェノール性OHやCOOHの官能基をH24年度に確立した中和滴定法によりCFの表面官能基の定量分析を行う。ポリビニルオキサゾリンでのCFの改質、PPをベースにしたCFRPの成形として、マトリックスにPP/無水マレイン酸変性PPを用いる。フェノール性OHやCOOHの官能基、無水マレイン酸のモル数よりもポリビニルオキサゾリンのオキサゾリン基のモル数が1桁程度多くなるように材料設計する。ポリビニルオキサゾリン変性CFと無水マレイン酸変性PPを溶融圧縮成形することでCFRPを作製する。力学的特性からポリビニルオキサゾリン改質効果、また、ポリビニルオキサゾリンの分子量や形態の効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度に溶融混合超小型ユニットアクセサリ(1,800,000円)を購入し研究に使用する予定であったが、装置を借りることで使用できることになったため購入を取りやめた。H25年度において、研究費は試薬、試料の購入費に当てる予定である。
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