2012 Fiscal Year Research-status Report
グラフェンナノシート高濃度分散液の創製と電子デバイスへの応用のための基盤研究
Project/Area Number |
24560836
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坪川 紀夫 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20018675)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グラフェン / ラジカル捕捉 / ポリエチレングリコール / 配位子交換反応 / フェロセン含有ポリマー / グラフト / 分散性 |
Research Abstract |
本年度はグラフェンの有機溶媒中や水中への分散性向上を目的に、グラフェンへのポリマーのグラフト化について検討し、以下の研究成果が得られた。なお、本研究で使用したグラフェンはハマーズ法により合成した、酸化グラフェンである。 1.グラフェンは強力なラジカル捕捉性を有することを、グラフェン存在下におけるビニルモノマーの重合禁止作用から明らかにした。ついで、主鎖中にアゾ基を持つポリエチレングリコール(PEG)(PEGマクロアゾ開始剤)の熱分解で生成するPEGラジカルをグラフェンで捕捉することによるグラフト化を試みた。その結果、PEGマクロアゾ開始剤とグラフェンを室温で反応させても,グラフェンへのPEGのグラフト化は全く認められないのに対して、60℃以上の温度で反応させると、グラフェンへPEGがグラフトすることを明らかにした。グラフェンへのPEG のグラフト化は、FT-IR、熱分解GC-MS、およびXRDにより確認できた。したがって、この様な結果は、PEGマクロアゾ開始剤の熱分解で生成したPEGラジカルが、グラフェンで捕捉されることを示唆している。 2.カーボンブラックやカーボンナノチューブなどの炭素材料表面の縮合芳香族環がフェロセンと容易に配位子交換反応を起こすことが知られている。そこで、グラフェンの縮合芳香族環とフェロセンとの配位子交換反応を利用したグラフト反応について検討した。まず、ビニルフェロセンとビニルモノマーとのラジカル共重合により、フェロセン含有コポリマーを合成した。ついで、塩化アルミニウム触媒の存在下で、グラフェンにビニルフェロセンを一成分とするコポリマーを反応させると、コポリマーのフェロセン部位とグラフェンの芳香族環との配位子交換反応が進行し、対応するコポリマーがグラフェンへグラフトすることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の24年度研究計画では、配位子交換反応とラジカル捕捉法によるグラフェンへのポリマーのグラフト化について検討する予定であった。 本年度研究成果にも記したように、本年度において、(1)ポリエチレングリコール(PEG)のマクロアゾ開始剤の熱分解で生成したPEGラジカルを、グラフェンで捕捉されることにより、グラフェンへPEGをグラフトする新しい手法を確立した。また、(2)塩化アルミニウム触媒の存在下で、グラフェンにビニルフェロセンを一成分とするコポリマーを反応させると、コポリマーのフェロセン部位とグラフェンの芳香族環との配位子交換反応が進行し、対応するコポリマーがグラフェンへグラフトすることを明らかにした。 したがって、本年度の研究計画、目標はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は以下の項目について検討を進める。 1.前年度に引き続き、ラジカル捕捉性を利用した官能基の導入によるグラフェンナノシート分散液の調製について検討する。すなわち、グラフェンをイオン性官能基含有アゾ開始剤で処理することにより、ポリマーのグラフト化と同様に、グラフェンナノシートのエッジ部へイオン性官能基を導入することにより、グラフェンナノシート高濃度水分散液の調製について検討する。なお、カチオン性官能基として、アミジウムカチオン基、アニオン性官能基として、カルボキシラートアニオン基を選択する。 2.アニオン性及びカチオン性官能基を導入したグラフェンの分散性に及ぼす分散媒のpHの影響について検討する。カチオン性官能基導入グラフェンは酸性下で安定に分散し、逆にアニオン性官能基導入グラフェンは塩基性下で安定に分散すると予想される。 3.グラフェンの剥離状態を評価する方法の一つとして、BET比表面積が用いられているが、これは乾燥状態のデータで有り、溶液に分散状態での表面積を評価する方法が知られていない。そこで、メチレンブルー吸着法を用いたグラフェンの水溶液中での比表面積を評価する方法をの開発を目指す。本方法により、グラフェンの分散状態を評価する指標が得られる可能性がある。 4.スピンコート法によるグラフェンナノシート高濃度分散液と各種高分子との薄膜の作製を試み、グラフェン含有量が透明度や電気伝導度に及ぼす影響について究明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)