2012 Fiscal Year Research-status Report
ラテックスと無機粒子のヘテロ凝集制御による液相からのナノ粒子配列構造体の直接作製
Project/Area Number |
24560837
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
棚橋 満 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70314036)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アクリルラテックス / ジルコニアゾル / ヘテロ凝集 / フィルム化 / ゼータ電位 / 沈降速度 / 分散 / ナノコンポジット |
Research Abstract |
ポリマー系微粒子と無機ナノ粒子の混合水分散系のヘテロ凝集・分散制御およびポリマー粒子の造膜特性(フィルム化)を活用した新たなポリマー/無機系ナノコンポジット簡易調製法確立を目指し,研究初年度は,当初の計画を踏まえて以下の研究を実施した。 ナノコンポジット中の無機粒子分散相の微構造に影響を及ぼす出発原料溶液中でのポリマー系および無機系異種微粒子のヘテロ凝集・分散挙動を解明することを試みた。ポリマー微粒子として粒子径200nmのアクリルラテックスを,無機ナノ粒子として粒子径50nmのジルコニアゾルをそれぞれ対象とした。両水分散系とこれらの混合分散系のゼータ電位測定により,各分散系の界面電気現象や分散安定性を検討した。アクリルとジルコニア粒子表面が異符号に帯電するヘテロ凝集条件のpHでは,ヘテロ凝集物による堆積層とその上部水相に相当する懸濁層の固液界面の移動速度を測定する沈降速度測定,堆積・懸濁両層の熱重量分析,電子顕微鏡観察,さらには外部機関でのアクリルラテックスの最低造膜温度測定を実施し,ヘテロ凝集機構を検討した。固液界面沈降速度はジルコニア/アクリル混合粒子個数比に依存して若干変化するものの,ヘテロ凝集物堆積層の性状はおおむね同一であった。具体的には,アクリル粒子が部分的な融着が生じているのみであり完全に造膜した連続相とならず,堆積層内部にはジルコニア粒子の凝集領域の存在が観測され,不均質なアクリル/ジルコニア混合物しか得られなかった。一方,異種粒子混合水分散系の両粒子表面の帯電が同符号となるpH条件下では,ジルコニア/アクリル粒子個数比が小さい場合,分散系を維持したまま徐々に濃縮・乾燥操作を施すことにより,ジルコニアナノ粒子が一次粒子単位分散した状態のままラテックスの造膜が進みアクリルマトリックス連続相が形成されたことを確認し,ナノコンポジット調製の可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始年度である本年度の当初の計画では,本研究遂行にあたっての共通基盤技術となる,ラテックスと無機ナノ粒子の混合溶液系を対象としたヘテロ分散・凝集評価と解析技術の確立ならびにヘテロ凝集・分散挙動の解析の実施が主たる研究内容であったが,を実施する。研究開始年度である本年度は,ポリマー系および無機系異種微粒子のヘテロ凝集・分散挙動の解明が主たる実施内容であったが,微粒子の分散・凝集評価を専門とした連携研究者の協力を受け,着実に成果を上げることができた。ただしこの成果のみにとどまらず,先の「研究実績の概要」欄にて報告した通り,提案技術においてナノコンポジットが調製可能となる条件の一部(出発原料であるポリマー系微粒子と無機ナノ粒子の混合水分散系のpH条件,分散・凝集条件,ラテックス/無機粒子混合比率,混合濃縮・乾燥条件等)を既に見出しており,次年度(平成25年度)実施予定の研究により創出される成果の一部が得られている。この成果により,検討すべき操作条件の絞り込みが容易が容易となり,平成25年度の達成を想定している調製条件の最適化に向けた研究を速やかかつ効率的に遂行することが可能となるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果より,提案技術におけるポリマー/無機系ナノコンポジット調製条件を絞り込むことができたので,提案プロセスの出発原料となる混合水溶液のラテックスと無機ナノ粒子の粒子種とその組み合わせを可能な限り広範に変化させて,種々のナノコンポジット系のヘテロ凝集・分散挙動の解明と制御を試みて,提案技術の適用範囲を調査するとともに汎用性を検討する。これにより,当初計画した平成25年度実施予定の本系ナノコンポジット調製条件としての最適化に関する基礎研究を主たる実施内容とする。この要素研究については,本年度内に一部先行して実施しているので,最終年度(平成26年度)に計画されている光学用途への適用を目指したアクリル/無機系ナノコンポジットの特性評価についても,平成25年度内に前倒しして着手する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)