2012 Fiscal Year Research-status Report
炭素繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の界面接着性および含浸性評価
Project/Area Number |
24560838
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
仲井 朝美 岐阜大学, 工学部, 教授 (10324724)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 複合材料 / 熱可塑性樹脂 / 界面 / 含浸 / 表面処理 |
Research Abstract |
連続繊維と熱可塑性樹脂からなる連続繊維強化熱可塑性樹脂複合材料は、熱硬化性樹脂複合材料に比べリサイクル性能を有し、繊維が連続しているため強化繊維の強度を最大に活かすことが出来ることから、構造材料として需要の拡大が期待されている。しかし、熱硬化性樹脂複合材料に比べ樹脂の溶融粘度が高いために、強化繊維束内への含浸が困難であり、含浸不十分の成形品では、力学特性の低下が起こる原因となる。さらに、繊維と樹脂の界面特性が低いという問題を有している。ここで界面特性には、化学的な界面接着性とぬれ性が含まれており、化学的な界面接着性が低い場合、樹脂から繊維への力の伝達が低下し、力学的特性が低下する。一方ぬれ性が乏しい場合、含浸特性が低下し、未含浸領域が増加、力学的特性が低下する。 本研究では、界面接着性およびぬれ性の向上を同時に達成すること目的とし、炭素繊維に施す表面処理について検討をおこなった。含浸性の向上を図るため、低分子量PPを塗布した炭素繊維を用いた。母材樹脂には、PPとマレイン酸変性PP(MAPP)樹脂を用いて、各試験片の界面接着性の評価および、一方向材を作製し、含浸状態と力学的特性についての評価を行った。得られた結果より界面接着性と含浸特性が力学的特性に与える影響について検討をおこなった。 実験結果より、マレイン酸変性処理を行う事で、界面接着性は向上するが、未含浸状態が発生した。PP-emulsionを塗布した炭素繊維表面に塗布することで、CF/MAPPの界面せん断強度は低下するが、含浸特性が向上することで、力学的特性が向上することが明らかとなった。このことから、界面接着性および含浸特性の両方を考慮する必要があると言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画として、平成24年度に界面の改質、平成25年度にサイジング剤およびカップリング剤が界面接着性および含浸特性に及ぼす影響を検討するという計画を挙げていた。平成24年度において、界面接着性および含浸特性の評価手法について確立し、炭素繊維およびポリプロピレンを用いた系において、界面接着性および含浸特性の両方を満足する表面処理手法についての知見も得られた。したがって、平成25年度の研究実施計画として記載した内容についても計画が前倒しで達成されたといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度において、界面接着性および含浸特性の評価手法について確立し、炭素繊維およびポリプロピレンを用いた系において、界面接着性および含浸特性の両方を満足する表面処理手法についての知見を得た。平成25年度においては、ナイロンやポリメチルペンテンなど異なる熱可塑性樹脂を用いた系において、界面接着性および含浸特性の両方を満足する表面処理手法について検討する。 さらに、炭素繊維およびポリプロピレンを用いた系において、In-situポリマーブレンド手法の開発をおこなう。役割の異なる2種類の繊維を用いて中間材料(マイクロブレーディッドヤーン:MBY)を作製し、最適配置および比率を検討する。比較のため、芯鞘構造を有する樹脂繊維、および、2種類の樹脂を予めブレンド・紡糸した繊維を用いてMBYを作製し、比較検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、上記計画に必要な消耗品(樹脂、繊維、表面処理剤、ひずみゲージ、研磨紙、包埋用樹脂など)65万を計上する。さらに、複合材料最大の国際会議が実施されるため、上記成果を発表するための海外旅費を計上する。界面評価に関しては、謝金等で実験補助を雇用し、研究を円滑に推進する。
|