2012 Fiscal Year Research-status Report
バイオマス比率の高い機能性ゴム系グリーンコンポジットの創製及び機能性評価
Project/Area Number |
24560840
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hyogo Prefectural Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷 朝博 兵庫県立工業技術センター, 材料技術部, 主任研究員 (10470220)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | グリーンコンポジット / 微粒子 / ナノファイバー / 天然ゴム |
Research Abstract |
植物バイオマスであるセルロースから扁平状微粒子及びナノファイバーを作製し、天然ゴムの補強剤として活用することにより、バイオマス比率の高い機能性グリーンコンポジットの創製を試みた。 扁平状微粒子については、木材パルプセルロースから粒子径:約15 μm、扁平度:約100の微粒子を作製し、密閉式混練機による天然ゴムへの複合化を行った。得られたコンポジットの引張物性について評価した結果、未処理の微粒子を用いた場合には引張物性がそれほど大きく変化しなかったが、シランカップリング剤処理した微粒子を用いることにより微粒子充填量の増大とともに低伸長領域での引張弾性率が大きく向上することが明らかになった。一方、機能性(ガスバリア性、制振性)については、未処理の微粒子を用いた場合でも微粒子充填量の増大とともにガスバリア性、制振性が向上することがわかった。 ナノファイバーについては、本研究で購入したディスクミルによる解繊処理で木材パルプセルロースから作製したもの(繊維径:約20 nm)を天然ゴムラテックスと水分散状態で高速撹拌混合し、次に得られたマスターバッチに固形天然ゴムとゴム配合剤を二本ロールを用いて混練することによって所望のファイバー充填量のコンポジットを作製した。複合化の際に、ナノファイバーをシランカップリング剤処理し、適切な条件で混練することによって、ナノファイバーとゴムとの界面相互作用が向上し、従来よりも少量添加で大きな補強効果が得られることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、植物バイオマスであるセルロースから扁平状微粒子及びナノファイバーを作製し、天然ゴムの補強剤として活用することにより、低燃費・エコタイヤへの応用を目指した機能性グリーンコンポジットを創製することを目的としている。今年度の取り組みにより、粒子径:約15 μm、扁平度:約100の扁平状微粒子を複合化することにより、ガスバリア性、制振性をコンポジットに付与することができることを検証した。また、ナノファイバーのシランカップリング剤による表面処理ならびにコンポジット作製条件を最適化することによって、ナノファイバーの少量添加で大きな補強効果が得られることも確認できた。以上のように、扁平状セルロース微粒子及びセルロースナノファイバーを天然ゴムの補強剤として活用することにより、バイオマス比率が高く、高強度でガスバリア性、制振性などの機能性が付与されたグリーンコンポジットを創製できたことから、研究目的が順調に達成できていると判断した。ただし、研究内容が当初の年次計画の順序とは少し入れ替ってしまったため、今後は今年度に計画していた扁平状微粒子の生成メカニズムの解明などに注力する。
|
Strategy for Future Research Activity |
扁平状微粒子については、酸化チタン等の無機微粒子との共粉砕による微粒子化に取り組む。これによって、粒子径をより小さくすることができると予想されることから、得られた微粒子の形状について評価した後に、天然ゴムとの複合化を行う。作製したコンポジットの機械的特性・機能性について評価するとともに、マイクロX線CTスキャナーを用いて微粒子の分散形状、分散状態の観察を行う。 ナノファイバーについては、アスペクト比低減を目的としたボールミルによる機械的粉砕に取り組む。これによって、コンポジット中での繊維の絡まり合いを抑制し、分散性の向上を図る。さらに、シランカップリング剤以外にレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)などによる表面処理を行い、ナノファイバーの形状最適化と表面処理による機械的特性の向上を図る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
天然ゴムと補強剤との界面相互作用向上を目的とした補強剤の表面処理の検討を計画していることから、実験に必要な天然ゴム等の原材料(450千円)や表面処理に必要な試薬(150千円)を購入する予定である。また、ゴムと補強剤との混練実験も行うことから、混練実験に必要なゴム用配合剤(150千円)も購入する予定である。 連携研究先である産業技術総合研究所バイオマス研究センターとの研究打合せや京都大学生存圏研究所との情報交換等を行いながら研究を進める。さらに、国内関連学会(日本ゴム協会、セルロース学会等)での技術調査及び研究発表を行うことを計画していることから、それぞれの出張に必要な国内旅費(100千円)を計上する。さらに、セルロースやナノコンポジットに関する書籍(70千円)の購入等も計画している。
|
Research Products
(4 results)