2013 Fiscal Year Research-status Report
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24560842
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 裕之 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (10225998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 俊一郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (00345943)
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Keywords | 高温変形 / クリープ曲線 / 寿命予測 / 耐熱合金 / 銅合金 / アルミニウム / 組織勾配 / 残留応力 |
Research Abstract |
合金のクリープを理解し長時間寿命の評価に反映させるには,変形の様相を定量的に把握する必要がある。代表者は,クリープ曲線の形状を代表させる量としてのひずみ加速指数を用いる方法を提案してきた。この方法を用いると,最小ひずみ速度と併せた定量化によってクリープ曲線を精度良く外挿できる場合があり,その適用可能性を明らかにすることが重要である。ひずみ速度の変化は材料学的組織の変化を反映し,ひずみ加速指数も変形機構と密接な関係があると予想される。 本研究ではひずみ加速指数の本質を明らかにするための,ひずみ加速指数と変形機構や組織変化との関係に関する知見を系統的に得るための研究の一環として,変形中の組織変化が明瞭な合金のひずみ加速指数と組織変化の様相を実験的に調べ検討することとした。 高温変形では,材料学的組織に分布や勾配があると,変形中に応力の再分配がおこるので,組織に勾配がある場合にはひずみ速度変化の様相が単相材とは異なる可能性がある。組織に分布をもたせる方法として,回転曲げと引張の複合負荷装置(RBT試験装置)を考案し,アルミニウム合金を対象として材料学的組織に勾配を形成する方法を見いだした。これらの合金のクリープ曲線は,勾配を持たない合金と異なる場合のあることを見いだし,ひずみ加速指数によって定量的に比較できることを確認した。RBTによって組織勾配を作ると,その内部の残留応力は複雑な分布を示すことを2D-XRD法によって明らかにした。 ひずみ加速指数を用いると,通常型とは異なる形状のクリープ曲線も定量的に評価できる。逆遷移型の遷移クリープやS字型のクリープ曲線が現れる固溶強化合金や,実用耐熱合金についても,ひずみ独指数によってクリープ曲線の形状を定量的に評価できることを明かにした。ひずみ加速指数は,様々な合金のクリープ曲線形状を評価する方法として有用と期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年度までの計画および達成の状況は下記の通りであり,総合的に,おおむね順調に進展していると考えている。 (1)強化機構と「ひずみ加速指数」の関係の実験的評価:強化機構の異なる合金として,アルミニウム合金に加えて銅合金の「ひずみ加速指数」を実験的に評価し,その様相を調べた。変形前に組織の分布や勾配が存在する場合には,高温変形中に応力の再分配がおこるので,ひずみ速度変化やひずみ加速指数の様相が複雑な変化を示す可能性がある。組織勾配を形成し,クリープ特性を調べる方法を検討し,回転曲げ-引張複合負荷装置(RBT試験装置)を考案・改良し,組織の分布を形成する方法を明らかにし,変形前の組織に勾配が存在すると,クリープ曲線の形状が変化することを明らかにした。(2)内部応力による組織変化評価と材料学的組織評価:2D-XRD法により,組織勾配が存在する場合に残留応力が複雑な分布を示すことを実験的に明らかにした。また,残留応力と内部応力の関係も示唆された。急変法による内部応力の評価結果をさらに蓄積し,比較をすることが第2年度以降の課題であり,概ね順調に進展している。(3)「ひずみ加速指数」と組織変化の検討:材料学的組織とその変化の様相を,「ひずみ加速指数」の変化の様相と対比して検討するために,材料学的組織を観察した。変形組織に起源を持つ応力場に関する情報と,より詳細な組織観察を総合的に検討する必要がある。「ひずみ加速指数」に影響を与える因子をより詳細に検討する必要があり,最終年度の課題として取り組む。(4)様々な合金における外挿法の検討:銅合金や実用耐熱合金のクリープ曲線を対象として「ひずみ加速指数」を用いた定量評価と外挿を試み,区間区分の指針を得た。実用合金を含む様々な合金系に対する「ひずみ加速指数」の応用の可能性が示された。 これらの状況を勘案し,概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
強化機構の異なる合金系を対象として,「ひずみ加速指数」を実験的に評価し,ひずみ加速指数の様相と強化機構の関係を系統的に検討する。クリープ変形における材料学的組織を評価するために,急変法による内部応力と格子定数測定による残留応力評価を行う。さらに各種顕微鏡によって材料学的組織を観察し,強化機構・材料学的組織・ひずみ加速指数の様相を系統的に調査する。これらの結果を踏まえて,「ひずみ加速指数」によるクリープ曲線の外挿と再構成を行い,外挿法・寿命評価法としての可用性を検討する。第2年度に引き続き下記の項目に取り組む。 (1)強化機構と「ひずみ加速指数」の関係の実験的評価:(2)内部応力による組織変化評価と材料学的組織評価;(3)「ひずみ加速指数」と組織変化の検討:(4)さまざまな合金系における「ひずみ加速指数」による外挿法の検討;を行う。 さらに下記の項目を検討する。(5)部分クリープ曲線からの寿命予測法の高精度化の検討:「ひずみ加速指数」は,原理的にはクリープ曲線のごく一部から全体を再構成できる。一次クリープ域を含むクリープ曲線の断片から再構成されたクリープ曲線の再現性を詳細に評価し,最小ひずみ速度や加速挙動が明瞭には現れない場合の外挿の可能性と限界を検討する。この外挿方法の検討を通して,高い信頼性で外挿を行う革新的な寿命予測法として提案するための検討を行う。 これらの実験および検討結果をとりまとめ,ひずみ加速指数と材料学的組織の関係を整理する。また,従来法よりも短時間・高精度でクリープ変形特性を予測可能な革新的寿命評価法として標準手順を提案することができるよう整理する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
荷重測定に関する試験用治具を設計製作するにあたり,年度初頭に計画していた試験条件や試料サイズに変更が生じたため,設計を変更し,翌年度に製作することとしたため。 次年度の交付予定の研究費と併せて,クリープ変形挙動を実験的に調べるための試験装置および試験用素材,組織観察用の諸装置を利用するための準備等に使用する。第2年度までに得られた知見を礎として,発展的に装置等の設計を変更したものであり,基本的に当初の計画に沿って使用する予定である。
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Research Products
(21 results)