2013 Fiscal Year Research-status Report
化学的安定度制御による相変態を利用した超微細粒高強度オーステナイト鋼の創製
Project/Area Number |
24560852
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中田 伸生 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50380580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 將己 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40452809)
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Keywords | 構造・機能材料 / 鉄鋼材料 / 相変態 / 組織制御 / 超微細粒鋼 |
Research Abstract |
炭化物の析出・溶解によって微細ラス状オーステナイト(ラスオーステナイト)を得るためには、次の3つの条件を満足しなければならない。1.添加元素が完全に固溶した完全溶体化状態では冷却後もオーステナイト組織が安定である。2.炭化物が析出した部分溶体化状 態では冷却後にマルテンサイト組織となる。3.昇温過程でマルテンサイト逆変態が発現する。昨年度までにFe-Ni-C合金において、これらを満たす合金組成と熱処理条件を明らかにすることができたため、本年度は合金組成をFe-18%Ni-0.6%C合金に絞り、熱処理に伴う詳細な組織変化ならびに最終的に得られる鋼の引張特性を調査した。 組織変化については、従来知見同様にfcc→bcc(bct)→fccの2度のマルテンサイト変態によってオーステナイトの結晶方位が元の方位に戻る可逆現象:オーステナイトメモリ-が確認される一方、その内部にはマルテンサイト変態に由来する微細なラス状組織と高密の転位が確認された。ただし、炭化物を基点とした拡散型逆変態もわずかに観察されたため、十分にマルテンサイト逆変態を発現させるためには昇温速度をできるだけ高めることが重要であることもわかった。 引張特性については、通常のオーステナイト組織を有する初期溶体化材の降伏強度が220MPa程度であったのに対して、微細ラス状オーステナイト組織を有する完全溶体化材の降伏強度は400MPaに達しており、2度のマルテンサイト変態を経由することでオーステナイト鋼の強度が大幅に上昇することが証明された。 また、Fe-Mn-C合金においても同様の実験を開始しており、低合金組成であるFe-5%Mn-0.15%C合金であっても非常に高い昇温速度であればマルテンサイト逆変態が生じることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微細ラス状オーステナイト組織形成によるオーステナイト鋼の高強度化を確認でき、Fe-Mn-C合金でも同様の組織変化が生じることを確認できた。しかしながら、高強度オーステナイト鋼を得るための最適なFe-Mn-C組成の同定には至っておらず、当初の年度計画の目標には達していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに研究計画を速やかに実施するとともに、次年度以降の研究計画を予定通り実施する。
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Research Products
(4 results)