2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560853
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 潤子 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 助教 (00415952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 健太 名古屋大学, 高等研究院, 助教 (10581118)
SHAO Huaiyu 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 助教 (20614697)
李 海文 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 准教授 (40400410)
佐々木 優吉 一般財団法人ファインセラミックスセンター, ナノ構造研究所, 研究員 (40426507)
秋葉 悦男 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90356345)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水素吸蔵反応 / 環境制御型透過電子顕微鏡 / その場観察 |
Research Abstract |
Ti-V系BCC合金は、常温常圧付近で最大3.8 wt%の水素を吸蔵することが報告されており、燃料電池自動車用水素貯蔵タンクの材料として応用が期待されている。しかしながら、構成元素の割合により、最大水素吸蔵量と水素放出の際の死蔵量に違いがあり、特に水素吸蔵・放出繰り返し過程における死蔵量は水素吸蔵・放出の際に形成される格子欠陥の種類や量と関係するものと考えられる。 本研究では、Ti-V二元系合金についてV/Ti比を変えた合金をアーク溶解により作製し水素化・脱水素化を行うと同時に、水素化後の合金を透過電子顕微鏡(TEM)により観察した。その結果、V/Ti比の小さいV0.4Ti0.6,V0.5Ti0.5で水素吸蔵後にFCCの(111)面に平行に双晶境界と積層欠陥が多く形成されていることが明らかになったが、V/Ti比の大きいV0.8Ti0.2,V0.6Ti0.4では双晶境界はほとんど観察されなかった。 また、常温、1000Pa以下で水素吸蔵・放出するMg-Ni膜について、環境制御型透過電子顕微鏡のカラム内に水素ガスを導入しながら、水素化反応のその場(in-situ)観察を行った。具体的にはマグネトロンスパッタ法を用いて作製したMg6Ni膜について、イオンミリング法によりTEM観察用断面試料を作製し、予備観察を行った後、試料まわり(TEMのポールピース内)に100Paまで段階的に水素を導入し、0.1秒ごとに膜の構造変化を記録した。100Paで水素雰囲気を保持し、特に膜/基板界面付近を30万倍以上で観察すると、Mg6Ni膜中のMg2Ni結晶の(002)面が基板側に成長していったり、アモルファス中から微結晶が生成したりするなど、結晶化が進行する様子が観察された。水素雰囲気中で30分以上保持した後は、Mg2NiHxと考えられる結晶が生成していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実用材料のベースとなるV-Ti合金について、V/Ti比と水素吸蔵・放出に伴い形成される格子欠陥の関係について明らかにすることができた。 また平衡圧1000Pa以下のMg-Ni膜について、水素雰囲気でのTEM in-situ観察を行うことができ、Mg2Niの結晶化・水素化が観察された。具体的には水素化に伴って膜全体で結晶化が進行し、ポアが発生するなどのマクロな組織変化が観察されると同時に、膜/基板界面、Pdキャップ層/膜界面付近を高倍で観察することができ、水素化物と考えられる微結晶の生成・成長を明らかにすることができた。水素化におけるMg-rich相とMg2Ni相の関係や、Mg2Ni水素化における優先成長方位なども検討する必要がある。 Mg-Ni膜については常温、常圧以下で水素吸蔵・放出が観測されており、バルク材のMgやMg2Niに比べて著しく反応速度が速くなっている。一方、水素吸蔵前(as-deposited)のTEM観察から、Mg-Ni膜はMg-richなアモルファス相とMg2Ni微結晶から成ることがわかっている。今後は、これらMg-rich相とMg2Ni相の水素化の関係、表面に蒸着されるPdキャップ層の役割や、Mg/Ni比と水素吸蔵・放出特性の関係、およびMg/Ni比と水素過程における構造変化との関係などを明らかにしていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、Mg/Ni比の異なるMg-Ni膜について環境制御型TEMを用いた水素雰囲気でのin-situ観察を行い、Mg/Ni比と水素化に伴う構造変化の関係を明らかにする。特に、Mg-Ni膜/基板界面、Pdキャップ層/Mg-Ni膜界面およびMg-richアモルファス/Mg2Ni結晶界面に着目し、それぞれの相の反応速度や触媒効果などについて情報を得る。 また、ex-situセル付TEM観察用試料ホルダを用いて、BCCなど他の結晶系材料について、水素化過程の構造変化をin-situでTEM観察する条件を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)