2012 Fiscal Year Research-status Report
ソフトリソグラフィーを駆使したシリコンナノ構造の自在配線
Project/Area Number |
24560861
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
花尻 達郎 東洋大学, 理工学部, 教授 (30266994)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 透 東洋大学, 理工学部, 教授 (40165634)
中島 義賢 東洋大学, 学際・融合科学研究科, 准教授 (40408993)
水木 徹 東洋大学, 学際・融合科学研究科, 准教授 (80408997)
東 利晃 東洋大学, バイオ・ナノエレクトロニクス研究センター, 研究助手 (90624742)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | μ‐TAS / MPC / SOQ / PCR |
Research Abstract |
シリコンナノ粒子を配列させるプラットフォームとして、PDMS(シリコンゴム)流路とSOQ(Silicon On Quartz)基板に着目し、要素技術の確立に着手した。まず、微細加工技術(MEMS技術)を駆使しPDMSを用いて作製したμ流路に、シリコンナノ粒子の代替として磁性ナノ粒子を流し、局所的熱反応を誘起させることができる全く新規のマイクロ化学分析システム(μ‐TAS)を試作した。DNAの増幅手法であるポリミラーゼ連鎖反応(PCR)をマイクロデバイス上で行うことに成功した。具体的には、磁性ナノ粒子とPDMSを用い、交流磁場下において任意の温度に制御可能なマイクロヒータを作製した。またMEMS技術を基盤とし作製したマイクロ流路に磁性ナノ粒子のヒータを統合し、流路内をヒステリシス損失熱により加熱可能なマイクロデバイスの試作を行った。最後に試作したマイクロデバイスを用い、一般的な恒温槽を用いた実験と同様に、αアミラーゼの至適温度において酵素活性を確認できた。以上のことから、本研究で磁性ナノ粒子のヒステリシス損失熱を熱源としたマイクロデバイスによる、αアミラーゼの酵素反応および制御を行い、従来の手法と比較しその有用性を示した。PDMS流路に関しては、MPCコーティングを3面以上に適切に行うことにより、流路内の電気浸透流を効果的に抑制できることを示した。また更に、SOQ基板については、上面に作製したシリコンデバイスの特性が、下面透明基板からの照射光により制御可能であることを示した。以上より、SOQ基板上にPDMS流路とシリコンデバイスの融合回路を作製し、流路内に流し込んだシリコンナノ粒子の外部磁場印加による局所発熱を利用して作成されたシリコンナノ配線の可能性と、それを活用した新規デバイスの可能性について検討し、その基本設計を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ソフトリソグラフィの主たる対象であるシリコンナノ粒子に関しては粒子製造会社の都合によりその供給が必ずしも儘ならず、さらに、ソフトリソグラフィの主たる対象であるSPMに関してはこれもSPM製造会社の都合により(当該会社が別の分析機器メーカーに急遽、吸収合併)、進捗が遅れ気味(H24年度に計画していたメーカーとの共同開発によるSPMの改良の日程見通しが立たなくなった)という予期しない状態に一時あったため、H24年度においては当初計画していたシリコンナノ粒子に関するその基礎物性評価、結合ナノ構造形成、SPMによる分散などの課題に本格的に着手することが図らずも困難な状況にあり、そのため、急遽、H25年度に着手する計画であったシリコンナノ粒子を配列させるプラットフォームとして着目していた、PDMS(シリコンゴム)流路とSOQ(Silicon On Quartz)基板について、要素技術の確立を先行して行い、一定の成果を得ることには成功し、計画変更の影響を最小限に留める様、鋭意、努力はしたが、年度途中の急な計画順序変更により図らずも時間を消耗せさるをえなかった影響は必ずしも無視はできない。
|
Strategy for Future Research Activity |
H24年度においてはシリコンナノ粒子の供給が、粒子製造会社の都合により必ずしも儘ならず、さらに、SPMの改造計画についても、SPM製造会社の都合により進捗が遅れ気味という予期しない状態に一時あったため、これらの状況に応じて計画の順序に急遽変更を加え、シリコンナノ粒子を配列させるプラットフォームとして着目していた、PDMS(シリコンゴム)流路とSOQ(Silicon On Quartz)基板について、要素技術の確立を先行して行ったが、H25年度においては、シリコンナノ粒子に焦点を絞り、その基礎物性評価、結合ナノ構造形成、SPMによる分散、およびバイオマテリアルによるシリコンナノ粒子の表面修飾について鋭意、実験を進める。PDMS流路を活用した電気泳動コールターカウンターの改良についてはほぼ計画通りに所定の結果を得ることができたが、それにより粒子のサイズ分布及びゼータ電位分布を評価する。また、SPMの液中操作についても予備実験はある程度進めてきたが、クローズドループシステムによる高精度な位置決め能力を有し、ナノリソグラフィーについては十分な実績がある既設のSPMを用いて、高精度なリソグラフィーを可能たらしめる。本来H24年度に計画し、メーカー都合で遅れていた「SPM用Qコントローラー」(備品)の整備によるSPMの改造を進める。またそれらの一方で、バイオ応用を念頭において、予備実験として、ワイヤー形成前のシリコンナノ粒子について、センサー用バイオマテリアルを表面修飾することを試みる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず、ソフトリソグラフィの主たる対象であるシリコンナノ粒子に関して、シリコンナノ粒子の基礎物性評価、シリコンナノ粒子の結合ナノ構造形成(予備実験)、シリコンナノ粒子含有溶液のSPMによる分散(予備実験)の研究を行うために必要なシリコンナノ粒子をメーカーから購入する。ソフトリソグラフィの主たる対象であるSPMに関してはクローズドループシステムによる高精度な位置決め能力を有し、ナノリソグラフィーについては十分な実績がある既設のSPMを用いて、高精度なリソグラフィーを可能たらしめる。本来H24年度に計画し、メーカー都合で遅れていた「SPM用Qコントローラー」(備品)を整備し、SPMの改造を進める。さらにワイヤー形成前のシリコンナノ粒子について、センサー用バイオマテリアルを表面修飾することを試みるが、その際に、各種酵素などの生体材料が必要となるため、それらも購入する。当初予定では、H25年度にはSOQ基板上にお互いにアイソレーションされた複数のシリコンメサ構造を作成し、これらを擬似的な電子デバイスに見立て、SPMソフトリソグラフィーによりシリコンナノ配線で接続し、そこで「プログラマブルファンクションジェネレータ」(備品)を整備して、それにより任意な形状の入力信号を印加し、その応答を広帯域な周波数で測定することにより、ナノ配線の電気的特性を詳細に評価することを計画していたが、計画の変更により、それはH26年度に順延し、先に、研究の中核部分であるシリコンナノ粒子によるナノ配線の作製技術の確立に注力し、それに必要な材料費、SPMプローブなどの消耗品、当初H24年度整備を予定していた「SPM用Qコントローラー」(備品)がメーカーの都合により整備ができなくなった為、その分をH25年度の研究費として繰越し、上記の研究計画達成の為に充当する予定である。
|
Research Products
(7 results)