2013 Fiscal Year Research-status Report
InSitu法による高効率高分離CO2吸着分離膜の創製と吸着膜分離性能の最適化
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24560862
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
永井 一清 明治大学, 理工学部, 教授 (40350269)
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Keywords | 分離膜 / In Situ法 / 二酸化炭素分離 / 高効率高分離 / POSS / ATRP / ポリイミド / 温室効果ガス分離 |
Research Abstract |
本研究は、温室効果ガスである二酸化炭素を選択的に吸着膜分離する有機無機ハイブリット膜を創製し、その吸着膜分離性能の最適化を行うことを目的とする。高分子中に吸着微粒子を分散させる従来技術と異なり、単位体積あたりの吸着表面積を増加させるために、In Situ法で高分子中に分子サイズレベルの吸着部位(カーボン被覆Polyhedral oligomeric silsesquioxane (POSS))を形成させようというものである。そのために、POSS 構造を側鎖に有するポリメタクリル酸とポリイミドを基本単位として、ミクロ相分離させずに各成分を均一分散させた膜を調製した後に、メタクリル酸部位だけを選択的に炭化させて、カーボン被覆POSSを形成させることを特徴とする。本年度は、セグメント鎖長の異なるポリイミド・POSS基含有ポリメタクリル酸ブロックコポリマーの合成、均一分散構造の評価および得られた膜のガス分離特性について研究した。 平成24年度に引き続き、ポリイミドマクロイニチエーターとPOSS基含有ポリメタクリル酸セグメントのセグメント鎖長を変えたブロックコポリマーをATRP法で合成した。本年度は、より精密な分子設計が可能となる合成条件を見出した。この化学構造は1H-NMR, 13C-NMR, FTIRおよびGPCを用いて目的物が合成できていることを確認した。そして、溶剤キャスト法により生成物を膜状にした後、In Situ法でメタクリル酸部位だけを効率的かつ選択的に炭化する条件を研究した。最終目的となる分離膜への応用のため、炭化前の膜を中心にガス透過性およびガス分離性を、膜へのガス溶解性と膜中のガス拡散性の観点から研究した。炭化前の膜は、溶解性と拡散性のどちらか一方が透過性と分離性の支配因子になるのでは無く、両者のバランスによることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに順調に実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までは計画通りに順調に実施することができているため、平成25年度と同様の方針で研究を進めていく。前年度で得られた実験結果を考察して、最終年度は「ポリイミド・POSS基含有ポリメタクリル酸ブロックコポリマー」のPOSS成分の置換基を代えて炭化実験を行い、最適な置換基の化学構造を決定して、CO2吸着膜分離特性を有する材料創製方法を確立する。そして得られた膜を用いたCO2の選択的吸着膜分離特性の解明と最適化を目指す。CO2の固定発生源の代表的な例として火力発電所があるが、ここからの排気ガス中には、CO2が約15%含まれる。残りのガス成分は空気である。そこで、CO2と窒素(N2)および酸素(O2)との選択的吸着膜分離性を測定評価する。CO2/O2、CO2/ N2の分離係数も決定し、空気成分のO2とN2のどちらが分離に影響を与えているのか判定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は計画通りに順調に実施することができた。特に、合成実験において、当初よりも早く最適条件を見出すことができたために、試薬の購入費を抑えることができた。 平成26年度は、差額分を利用して試薬及びガスを購入し、合成実験およびガス分離実験の実施回数を増やすことにより、実験データの精度を高める予定である。
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Research Products
(12 results)