2012 Fiscal Year Research-status Report
中性子を用いた燃料電池用固体電解質中のプロトンの動的挙動の解明
Project/Area Number |
24560866
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
井川 直樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (60354833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樹神 克明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (10313115)
田口 富嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (50354832)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 燃料電池 / 中性子散乱 / 水素 / プロトン伝導体 |
Research Abstract |
プロトン伝導性固体電解質材料の候補の一つであるBaYxCe1-xO3-δの合成実験を行い、出発原料や合成温度/時間、温度雰囲気などの合成条件の最適化を進めた。リートベルト法を用いた結晶構造解析の結果、x=0.1及び0.2について不純物のない、ペロブスカイト型構造からなるBaYxCe1-xO3-δ単相粉末試料が合成できた。また、プロトン伝導性固体電解質材料BaSn0.5In0.5O2.7について、これまでに研究用原子炉JRR-3に設置した粉末中性子回折装置にて実施した粉末中性子回折実験およびリートベルト解析/最大エントロピー法解析を併用した結晶構造解析によって得られた結晶構造の基礎物性を基に計算機シミュレーションを行い、局所的な結晶構造の乱れを解析した。このプロトン伝導性固体電解質材料では、各原子が平均位置からずれる静的な乱れが大きいことを示唆する結果が得られ、特にSn/Inサイトの中性子散乱長密度分布に突起状の乱れが存在することが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24 年度は、独立行政法人日本原子力研究開発機構の研究用原子炉JRR-3に設置してある粉末中性子回折装置HRPDを用いたその場観察条件下において材料中にプロトンを供給し、そのプロトン挙動を観察するためのガスフロー型中性子用電気炉の設計を完了した。また、Ba-Ce系酸化物系ペロブスカイト型プロトン伝導性燃料電池固体電解質材料の単一相試料が合成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度において確立したBa-Ce系酸化物系ペロブスカイト型プロトン伝導性燃料電池固体電解質材料や同様の構造を持つと考えられるBa-Zr系固体電解質材料の合成実験を試みる。 現在、研究用原子炉JRR-3が運転停止中であるが、本施設の再稼働に合わせて中性子回折実験用電気炉を作製・添付けを実施し、上述の合成試料を用いて中性子回折測定を行う。 さらに、イットリアやストロンチウムなどの高伝導率化が期待できる添加物の効果により種々のプロトン伝導度を持つ固体電解質材料を合成し、中性子回折実験を中心に特にプロトンの挙動に着目した動的な結晶構造変化の添加物効果について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Ba-Ce系固体電解質材料やイットリアやストロンチウムなどの高伝導率化が期待できる添加物を加えた固体電解質材料の合成実験を実施するために必要な原料や消耗品の購入に使用する予定である。また、粉末中性子回折実験用電気炉の製作のために使用する予定である。さらに、得られた研究成果について、学会発表等を行うための旅費および参加費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)