2012 Fiscal Year Research-status Report
生物にみられるナノヘア構造による把持・脱離機構を応用した厳密な可逆接合
Project/Area Number |
24560875
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 邦夫 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (70226827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ヘムタビー パソムポーン 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (00401539)
齋藤 滋規 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30313349)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 固体間凝着現象 / 生物模倣 / 把持機構 / 可逆接合 / 凝着仕事 / 梁構造 |
Research Abstract |
ヤモリなどの昆虫は固体間凝着現象を利用したナノヘア構造により様々な平面に容易に着脱できる.この構造を用いた可逆接合プロセスの確立のためには脱離のメカニズムが重要になる.ヤモリのヘア構造をモデルにした梁構造の凝着ディバイスによる凝着力測定実験にとって脱離のメカニズムを実験的に明らかにし,理論解と比較検討する.本年度は,特に,凝着力の角度を含む形状依存性,及び材質依存性について検討した. 一定角度の傾斜を与えた1本の梁状弾性凝着体を,上下に動かした際に発生する力を理論及び実験によって検討した.実際のヤモリなどの生物は表面粗さのある面を把持している.また,梁形状は先端に向かって太さが変化している.従来の弾性梁凝着理論を改良し,先端に向かって太さの変化する梁を扱えるようにした.また,その梁を集合体構造にすることで吸収できる表面粗さを見積もることのできる理論を構築した.その結果,梁構造を1本のみで使用する場合,ヤモリの毛のように先端に向かって太さの細くなる梁による凝着力は,一定太さの梁よりも弱くなること.しかし,表面粗さのある物体を把持する際,先端に向かって太さの細くなる構造は,一定太さの梁よりも,表面粗さによる凝着力低下を抑えることが判明した.つまり,ヤモリの毛の形状は表面粗さのある面を把持する際に,より大きな把持力を発揮するために,長い進化の過程において獲得された形質であることが明らかになった.一定太さよりも先端に向かって細くなる構造の方が大きな把持力を発揮できるかどうかは表面粗さの程度に依存する.したがって,把持する粗さも考慮した梁形状や角度の設計が視野に入ってきた.理論の改良によって,解析解は得られなくなり,数値計算が必要になる事が分かった.解析解をベースに数値解によってデバイスの設計を可能にすることで対応できそうだが,今後も引き続き検討を擁する事が判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヤモリが長い進化の過程で獲得した形質が,やはり,粗さのある表面を把持するのに適しており,それを理論的に解明できた.この知見をデバイスの設計に応用できれは積極的に角度を変化させる以上に現実性の高いデバイスを設計できることになる.
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Strategy for Future Research Activity |
理論の改良によって,数値計算が必要になる事が分かった.解析解をベースに数値解によってデバイスの設計を可能にする方法について,今後も引き続き検討していく.今年度得られた観点より,当初予定の設計方法の検討においては,解析解だけでなく,数値解析にも基づいた方法を検討することになる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)