2012 Fiscal Year Research-status Report
生体用金属材料における水素の吸収と存在状態による機能の劣化と誘起
Project/Area Number |
24560885
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 賢一 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80308262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 潤一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90329095)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腐食防食 / 水素脆化 / 生体材料 |
Research Abstract |
本年度は、生体用金属材料について、主に水素吸収量に注目し機能劣化と機能誘起の特徴を調べ、以下の知見を得た。 口腔内環境を模擬した酸性フッ化物ナトリウム水溶液中において、純Zrは純Ti及びTi合金と同様に腐食するが、その挙動は純Tiと異なることを定量的に示した。また、純Zrの腐食に伴う水素吸収量は、純Tiのそれと比べて少なく、純Zrの水素脆化感受性を考慮すると機能劣化しにくいことが示唆された。これらの結果から、今後、口腔内で使うことのできる金属材料の一つとして、Zrが重要な役割を果たすことが予想される。 所定の水素量をチャージしたNi-Ti超弾性合金を室温時効すると、合金表面の水素濃度が低下することなどにより、超弾性などの機能の劣化は回復する。一方、熱誘起マルテンサイト変態⇔逆変態させた後に室温時効すると劣化の回復は抑制されることが明らかになった。これは、熱誘起マルテンサイト変態と水素との動的相互作用が劣化に寄与していることを示している。また、相変態の回数が増加するにしたがってこの現象が顕著になったことから、相変態と水素との相互作用に伴う転位などの欠陥の蓄積も劣化に影響することが示唆される。この機能劣化を抑制するために合金に水素チャージする前に応力誘起あるいは熱誘起変態によるトレーニング処理を行うことが有効であることを見出した。これは、トレーニング処理で形成される欠陥に水素がトラップされることで、後の相変態との相互作用に関与する水素が減少することによると考えられる。 以上、得られた知見は、水素吸収による機能劣化に関して学術的に重要というだけでなく、生体用金属材料の寿命評価や超寿命化への指針の一つとなり得るため、実用的にも大きな意義を持つと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度で得られた結果の一部は、当初予想していた以上の現象を含むものであり、論文や学会などで研究成果としてすでに発表しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られた知見をさらに発展させ、当初の計画通り同様の体制で研究を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の結果の一部は、当初予想していた以上であり、追加実験等で必要となる費用を軽減することができたので、次年度の研究費へ繰り越した。 次年度の研究費は、当初に計画した通り、実験消耗品費(試験用材料、試料加工関連物品、試薬など)、旅費(研究打合せ旅費、成果発表旅費など)、人件費・謝金(実験補助費、英文校閲費など)、その他(印刷費、論文掲載費など)として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)