2013 Fiscal Year Research-status Report
超音速フリージェットPVDによるナノ結晶Si半導体膜の開発
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24560891
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
湯本 敦史 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (20383987)
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Keywords | ナノ結晶 / ナノ粒子 / 超音速ガス流 / シリコン半導体 / 薄膜太陽電池 / リチウムイオン2次電池負極 |
Research Abstract |
シリコン薄膜(Si膜)は,各種半導体デバイス,薄膜太陽電池やリチウムイオン2次電池の負極などへの適用が盛んに研究されている.従来の成膜法によるSi膜の主流はアモルファスSi(a-Si)であるが,その電子移動度は多結晶Siの100分の1以下であるため,より高電子移動度を有するデバイスを形成するためにa-Si膜から微結晶Si膜への転換が必要不可欠であると指摘されている.a-Si膜の結晶化技術としてレーザーアニール法や金属誘起結晶化法など様々な手法が用いられているが,工程が複雑になる上,大面積の多結晶Si膜の形成が困難であることや,基板にダメージを与えること等が技術的課題となっている.したがって,後処理工程が必要なくas depositの状態で良質な微結晶Si膜を形成する技術の確立が重要であり,新しいコーティングプロセスの開発が模索されている. 超音速フリージェットPVD(Supersonic Free-Jet PVD: SFJ-PVD)は,生成直後の活性なナノサイズの粒子(ナノ粒子)を5km/s以上の超音速ガス流によって加速・基板まで搬送し,高い速度を付加したナノ粒子を基板上に堆積させることより膜形成させる新しいコーティング法である. H25年度は,超音速フリージェットPVDにより,Si膜を石英ガラス基板及び銅箔基板上に形成させ,成膜条件が及ぼすSi膜の組織・構造への影響を評価検討することを研究目的とし,基板材質の差異(ガラス/銅)に関わらず,本法により形成されるSi膜が(1)緻密な多結晶体を呈していること,(2)膜組織が数nm~10nm程度の微結晶膜組織であることを明らかとした.また,成膜条件が及ぼす成膜速度への影響を調査し,数μm~数百μmの範囲で膜厚制御したナノ結晶Si膜を形成できることも示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 超音速フリージェットPVDにより,ガラス及び銅基板上に膜厚数μm~数百μm のナノ結晶Si膜が形成可能であることを示し,50μm以上の厚膜Si膜においても数nm~10nm程度の微結晶組織を呈する皮膜を形成させることに成功した. (2) Si膜が適用・応用される各種デバイスに多く用いられるガラス及び銅を基板として,基材材質の差異に関わらず高い密着性を有する緻密なSi膜の形成を達成した. (3) 成膜条件が及ぼすSi膜性状(組織及び構造)への影響並びに成膜速度の詳細を明らかとし,膜厚数μm~数百μmの範囲で膜厚を制御したSi膜を形成させることに成功した. 以上の研究成果は,設定した研究計画に対して順調に推移していると判断でき,良好な研究進捗状況と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,Si膜の応用・デバイス化を検討することを予定している.特に,これまでの研究成果・知見であるガラス及び銅基板に対して高い密着性で緻密なナノ結晶Si膜を高い膜厚制御性で形成できること,また,既存の成膜プロセスと比較して高い成膜速度で皮膜形成が可能であるという超音速フリージェットPVDの最大の特徴をいかし,薄膜太陽電池への応用デバイス化への検討,並びにリチウムイオン2次電池の負極への応用を検討することを計画している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特別注文品の設計変更により差額が生じた. 次年度使用額は395円であるため,当初予定を変更しない.
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Research Products
(3 results)