2013 Fiscal Year Research-status Report
保水機能を有する土壌改質用組成傾斜型球状中空粒子の創製
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24560893
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
遠山 岳史 日本大学, 理工学部, 准教授 (40318366)
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Keywords | 組成傾斜粒子 / 噴霧乾燥法 / 水酸アパタイト / マイクロカプセル / 保水材 / 耐水性 / 土壌改質剤 |
Research Abstract |
組成傾斜材料の創製は通常複雑なプロセスおよび時間をかけて行うが,本研究は溶解度の異なる2成分を噴霧乾燥する単純なプロセスであり,ワンプロセスで外殻が水酸アパタイト(HAp),内壁にシリカを析出させた組成傾斜型球状中空粒子の作製を目的としている。昨年度(平成24年度)は高濃度水酸アパタイト水溶液にケイ酸カリウムを添加することで,HAp/ケイ酸カリウム系組成傾斜型粒子の作製条件を明らかにし,さらにその機械的特性について評価した。本年度(平成25年度)においては,1) 組成傾斜型粒子の水中安定性の評価,2) 吸湿・放湿特性の評価を行い,以下の結果を得た。 1) ケイ酸カリウム無添加のHAp球状中空粒子は水中に1日浸漬させると崩壊したが,ケイ酸カリウムを添加させたHAp/ケイ酸カリウム系組成傾斜型球状中空粒子は水中に浸漬させても崩壊せず,中空構造を1週間程度保持することが認められた。また,粒子1粒の圧縮強さは浸漬前には10~20MPa程度であり,1週間浸漬後でもその強度はほとんど低下しなかったことから,耐水性が良好な材料であることが確かめられた。 2) 水中浸漬後の球状中空粒子を用いて,大気中(デシケータ内)への水分の放湿特性について検討を行ったところ,内部に水分を包含した試料をデシケータ中に静置することで湿度は時間の経過に伴い徐々に増加し,100分で約50%となり,それ以降は一定となった.したがって,本研究で作製した組成傾斜型粒子は保水機能を有していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は得られた組成傾斜型粒子の,1)機械的強度の評価,2)水中安定性の評価,3)吸湿・放湿特性の評価,4)土壌中での保水効果,の4つのパートに分かれており,2年経過の段階で1)~3)までが完了しており,次年度は実施試験を残すのみである。次年度は実施試験用のサンプルを大量に合成することに時間を多く割かれるが,年度末には当初の計画通りの研究が完了できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は10L程度の土の入ったプランターで,土中の湿度,水分量,pHなどを測定する予定である。このため,年度の前半は大量合成に時間を費やす予定である。また,昨年度までの研究成果を積極的に学会発表および論文投稿を行い,研究成果を広く内外に広めるよう努力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
球状中空粒子の含水率の測定のためにデジタルマイクロスコープの購入を予定していたが,当初の予想以上に得られた粒子が安定であり,顕微鏡で評価できるものではないことが明らかとなり,購入を見送ったためである. 次年度には土壌中の水分量の測定のための水分計(25万円)の購入を計画している.またその他に,経年劣化により交換が必要な噴霧乾燥器の消耗品(ガラス製噴霧管,チューブ等)の購入を計画している.
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Research Products
(3 results)