2012 Fiscal Year Research-status Report
Yゼオライト細孔内部触媒活性制御のための侵入型減圧熱CVDプロセスの開発
Project/Area Number |
24560897
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 恒之 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80170760)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | CVD / ゼオライト |
Research Abstract |
本研究は高選択性Yゼオライト触媒の開発に対し細孔径のみならず細孔内容積をもコントロールすることの可能な侵入型減圧熱CVDプロセスを開発することにある。 本年度はその第一段階として、CVD時に真空度を連続的に変化させることのできるCVD装置を作製し、Tetraethoxysilane(以下TEOS)からSiO2の成膜実験を行った。この装置はCVD反応器、マスフローコントローラ、温度コントローラなどから構成される。反応器には3ゾーン式の電気炉(新規購入)を用いた。原料蒸気が凝縮するのを防ぐために、ガスが蒸器に入る手前から反応管に入るまでをリボンヒーターで覆い、蒸器より10K高い温度に設定した。圧力調整はメイン流路に設置したニードルバルブにより、排気速度を調節することにより行った。CVD反応管は溶融石英管を二重にしたものを用いた。 同装置を用いてガラス管への成膜を行い、一定減圧下での局所成膜速度を実測した。TEOS蒸器温度は423Kに保ち、CVD温度を673K、N2流量は20SCCMとし、5800Paの減圧下で1h反応させ、短管重量の変化より成膜速度分布を測定した。本条件下では炉の中心で成膜速度分布が最大となることがわかった。このとき、管内で起きている反応が表面反応律速であるならば、速度分布は平坦な形になるはずである。しかし、実測した結果は平坦ではなかったことから、管内では気相反応と表面反応が同時に起きていると考えられる。堆積膜重量が小さくなった原因として、窒素流量が小さかったこと、TEOS蒸器温度が低く蒸気圧が十分得られなかったこと、もしくは反応器到達前にTEOSが凝縮してしまったことなどが考えられる。今後、ガスラインの短縮およびパイプ径の拡大など装置の改良を行い、さらにガス流量や反応温度などの条件を再検討し、TEOSCVD機構を明らかにし、ゼオライト細孔制御実験を実施する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマは大きく2つに分けられる。一つはサブナノレベルの細孔内への侵入型が可能となる熱CVDプロセスの開発と侵入型CVDモデル構築にある。前者では、装置開発が大きなウェイトを占めると考えられるが、基本的には排気速度の適切な設定が可能となる連続圧力調整システムの導入である。これについては、連続排気調整の装置上の可能性は示されたものの、既存ポンプでは高い減圧度が得られないことが分かった。そのため次年度はメカニカルブースタポンプを新たに購入し、現状の10倍程度の排気速度を実現させる必要があるものと考えている。 後者については、従来の研究結果を参考としながらCVD反応速度に及ぼす圧力の影響を明確化させる必要がある。これについては減圧度の高い実験結果の解析が必要となり、早急に実験装置を改良し、操作条件を種々変更させる試みが必須と考えられる。 以上のことから今年度の達成目標はほぼ満足していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究遂行に対して、状況の把握はできており、またそれに基づいて実験装置の改良等のめどは立っている。 研究方針の変更はとくに必要ないと考えられる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は実験装置の改良が必要である。メカニカルブースターポンプの購入に研究費を使用する。 CVD操作条件を種々変更させることからCVD原料の購入が必要である。 得られた膜物性の分析などに外部分析費を一部充てる予定である。 また成果を学会において発表するため、その旅費に充てる分が発生する可能性がある。
|