2013 Fiscal Year Research-status Report
Yゼオライト細孔内部触媒活性制御のための侵入型減圧熱CVDプロセスの開発
Project/Area Number |
24560897
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 恒之 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80170760)
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Keywords | CVD / 成膜速度 / 減圧系 / ゼオライト細孔 / 長寿命化 |
Research Abstract |
本研究はゼオライト触媒の長寿命化や選択性の向上を目的として細孔内触媒点や反応系の分子サイズに合った細孔径調整を、連続的に減圧度を変化させることの可能なCVDにより行うプロセスの開発を行うことにある。昨年度までに減圧高温反応系を完成しガラス直管の内側に堆積させた膜厚分布より成膜速度分布を測定することができた。本年度は次の2点の装置改良を行った。 ①本研究ではナノオーダーの空隙内への反応中間体の侵入を実現せねばならない。そのためには系内の減圧度をさらに上げる必要があった。そこで本年度はメカニカルブースターポンプに排気系を交換した。さらに配管長の短縮、配管径の一部大口径化、バルブ類の大型化によるコンダクタンスの低減を図った。その結果、流通状態下(窒素100sccm供給状態)での到達圧は、1700 Pa(改良前9000Pa)となり、大きな改善効果が得られた。 ②配管系の温度コントロールの改善のために、さらに2点温度コントローラを設置した。これにより原料であるTEOS(テトラエトキシシラン)蒸気の反応装置導入前の凝縮防止に大きく寄与することが期待される。 CVD成膜実験を実施した。3700Pa下、反応温度を673K,773K,873K,および1173Kとした条件で得られた成膜速度分布を比較したところ、873K以下の条件で得られた成膜速度分布は流れ方向において一定であり、表面反応支配であることが示唆された。一方1173Kでは反応装置入口近傍に成膜速度のピークのある分布がえられた。これは気相反応の寄与が低温時に比較して大きくなったためと考えられる。 次年度は、今年度得られた結果をもとにさらに基本的な成膜現象を理解するとともに、ゼオライトを用いた成膜を行い、口径変化速度と成膜条件の関係などを明らかにするとともに、本研究の総括を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度CVD装置の完成を受け成膜実験を行った結果、装置の減圧度をさらに向上させることが必要という判断に至った。これに対し、本年度2点の装置改良(上記)行い、減圧度も大きく改善された。 さらに改良を施された装置によるCVD実験を行い、一定減圧条件において反応温度を大きく変化させたところ、成膜速度分布から表面反応、および気相反応の影響が顕著となる成膜速度が得られた。 以上のことから本年度実施した装置の改良は実験条件の範囲を広げ、基礎的な現象の理解に大きく寄与するものと考えられる。したがって、実験はおおむね順調に推移していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
圧力、温度を変化させ、広い実験条件で成膜速度分布の解析を行う。表面反応、および気相反応の影響を実験条件と関連付け考察する。 上記において基礎成膜現象が説明づけられたのち、Y型ゼオライト粒子を用い成膜実験を行う。多孔体の口径変化などが成膜条件とどのような関係にあるか明確化するとともに、高感度電子顕微鏡やXRD分析から堆積した膜性状をあわせて明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究において使用する薬品類、真空系部品等を購入するためには金額的に不足があるため。 次年度繰越において消耗品等の購入に充てる予定である。
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