2013 Fiscal Year Research-status Report
低温プラズマ・イオン注入処理による高効率有機太陽電池の研究開発
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24560899
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Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
山根 大和 北九州工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (70332096)
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Keywords | 表面・界面制御 / 太陽電池 / ナノ材料 / 高効率太陽光発電材料・素子 / プラズマ加工 |
Research Abstract |
本研究では色素増感太陽電池の実用化を目指し、高効率化のために、短絡光電流(Jsc)と開放端電圧(Voc)の両方を増大させるTiO2電極への低温プラズマ処理、カチオンとアニオンの選択やコドープ処理条件を最適化する試験研究を実施している。これまで構築してきた(低温プラズマ/イオン注入)複合処理について高効率光電変換素子作製法の新規な手法の開拓を目指している。これまでの研究から、チタニアの伝導帯 準位の上昇については、チタニアにZrをドーピングすることにより、チタニアの伝導帯準位のネガティブシフトを起こすことを明らかにしている。一方、チタニア電極への窒素ドーピングにより、光電流が30%増大し、この原因としてチタニア伝導帯のポジティブ側にドナー準位として酸素欠陥準位が形成し、チタニア電極中の電子濃度が増大するためと考えられる。 平成24年度の研究内容として以下の2項目を実施した。試験項目①各種カチオン(Ta5+, Hf4+)ドープ処理を検討した。酸化チタン(TiO2)電極へのカチオンドープ処理は化学的処理法であるゾルーゲル法によって行った。数種類のカチオンドープ処理により開放端電圧(Voc)の増大を検討した。Taを添加したセルの場合に開放端電圧(Voc)が増大することが確認された。Hf添加量増加に伴うJscの増大が確認された。また、開放端電圧(Voc)の顕著な変化は確認されなかった。「試験項目」②(カチオン/アニオン)コドープ処理を検討した。カチオン(Ta5+, Hf4+)ドープ前処理した後、アニオンドープ後処理によって開放端電圧(Voc)及び短絡光電流(Jsc)の増大を検討した。アニオンドープ後処理には窒素(N)ドープを行った。Nイオン注入処理後は短絡光電流(Jsc)の増大が確認された。最適化した(低温プラズマ/イオン注入)複合処理によって色素増感太陽電池の高効率化を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に引き続き、(カチオン/アニオン)コドープ処理によって調製されたチタニア電極を使用して作製した太陽電池の光学特性を評価することで光電変換効率の向上のメカニズムを詳細に検討した。これまでの研究(平成17年度~平成25年度)から、チタニアの伝導帯準位の上昇については、チタニアにカチオンをドーピングすることにより、チタニアの伝導帯準位のネガティブシフトを起こすことを明らかにしており、すでに手がかりを得ている。一方、チタニア電極への窒素ドーピングにより、光電流が増大し、この原因としてチタニア伝導帯のポジティブ側にドナー準位として酸素欠陥準位が形成し、チタニア電極中の電子濃度が増大するためと考えている。 平成25年度の研究内容として以下の3項目を実施した。「試験項目」①各種カチオン(Y3+)ドープ処理を検討した。酸化チタン(TiO2)電極へのカチオンドープ処理は化学的処理法であるゾルーゲル法によって行った。数種類のカチオンドープ処理により開放端電圧(Voc)の増大を確認した。「数値目標」であった0.1V増(10%増)を達成した。「試験項目」②(カチオン/アニオン)コドープ処理を検討した。カチオン(Y3+)ドープ前処理した後、アニオンドープ後処理によって開放端電圧(Voc)及び短絡光電流(Jsc)の増大を検討した。アニオンドープ後処理には窒素(N)ドープを行った。「試験項目」③(低温プラズマ/イオン注入)複合処理の量子力学計算による電子構造解析を試みた。量子力学計算(ハード・ソフト共に現有設備)による電子構造解析を行い、実験で求めた半導体表面バンド構造と比較検討した。半導体表面構造と表面バンド構造との関係を明らかにすることにより、半導体の表面バンド構造制御技術を確立する知見を得た。 以上の様に当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に引き続き、(カチオン/アニオン)コドープ処理によって調製されたチタニア電極を使用して作製した太陽電池の光学特性を評価することで光電変換効率の向上のメカニズムを詳細に検討する。 平成26年度の研究実施計画として以下の2項目を実施する予定である。「試験項目」:①(カチオン/アニオン)コドープ処理の最適化を検討する。カチオン(Ta5+, Hf4+, Zr4+, Y3+)ドープ前処理した後、アニオンドープ後処理によって開放端電圧(Voc)及び短絡光電流(Jsc)の増大を検討する。アニオンドープ後処理には窒素(N)ドープを行う。「試験項目」:②色素の分子設計を検討し、ドープチタニア電極のドナー準位に最適化した長波長光吸収色素の選択及び開発を行い、バンド構造制御チタニア電極との組合せにより変換効率の向上を目指す。 提案者は2つの観点からバンド構造制御を行っている。1つはチタニア伝導帯準位の上昇、もう1つは伝導帯の下方、すなわちポジティブ側にドナー準位を形成させることである。まずチタニア伝導帯の上昇は、開放端電圧を上昇させるためである。またドナー準位として、①ドナー準位の電子は熱または光吸収エネルギーによりチタニア伝導帯に励起される、②チタニア伝導帯に励起電子を与えた状態で、色素からの励起電子を受け取り、①と同様にこの励起電子はチタニア伝導帯に励起する、という2つの作用の発現がある。したがって作用①によりチタニア電極中の電子濃度が高くなり、光電流を増大させ、さらに作用②を有効に活用するためにドナー準位を制御できれば、現状の色素のLUMO準位よりもポジティブ側に位置する色素も使用可能となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、日本化学会第94春季年会(2014)(平成26年度3月27日-30日、名古屋大学東山キャンパス)に出席し研究発表を行った。その発表内容とは異なる科研費で得られた研究成果を他の学会にて研究発表を行う予定にしていたが、校務の諸事情により参加できなかった。そのため旅費の支出が計画していた額(100千円)に満たなかったので当該助成金が生じた。 平成25年度に生じた当該助成金は、平成25年度に発表予定であった研究成果を発表するために使用する予定である。
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Research Products
(8 results)