2013 Fiscal Year Research-status Report
複合化高圧ジェットミル法による微粒子を応用した膜創成技術
Project/Area Number |
24560903
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Research Institution | Toyama Industrial Technology Center, |
Principal Investigator |
岩坪 聡 富山県工業技術センター, その他部局等, その他 (30416127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 清 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30134258)
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Keywords | 粒子 / 粉砕 / ジェットミル / ビーズミル / 複合 / 微粒化 / アルミナ |
Research Abstract |
ビーズミル法と高圧ジェットミル法の複合化処理による特長を明らかにするために、ビーズミル-高圧ジェットミル微粒化実験を行った。原料粒子にはαアルミナを用いた。また、ビーズ径が0.3 mmの処理の後に0.1 mmのビーズを使用する2段階のビーズミル処理も行い、高圧ジェットミルとの比較を行った。作製された粒子径は、レーザー粒度分布計で統計的な値を求め、FE-SEM、TEMなどを用いて個々の粒子形態や結晶構造を評価した。その結果ビーズミルでは、ビーズ径が0.3mmの場合、一般的な限界であるとされるビーズ径の約1000の300 nmまでの微粒化が可能であった。しかし、ビーズ径をそれ以上小さくするとビーズの破壊力が不足し、微粒化が困難になる傾向があった。一方、ビーズミル粉砕後に高圧ジェットミルを行うことで、0.5 mmのビーズ径によって発生した損傷部や亀裂を基点とした微粒化が可能であった。TEM観察の結果、ビーズミル直後では、粒子表面に摩耗粉と思われる数nmのアモルファス層があるのに対して、高圧ジェットミル法を行うことで、完全ではないがその部分が取り除かれることと、表層の凹凸が減少する傾向が確認できた。つまりこの複合化処理は、粒子表層のクリーニングと形態制御が可能であると考えられた。 次にその複合化処理の利点を調べるために、アルミナではないが粉砕炭化物粒子をそのまま使用し、プラズマ焼結法(SPS)で焼結した試料と、その原料を高圧ジェットミル法で処理後に焼結した試料を作製した。作製した試料は油潤滑中での摩擦摩耗試験と硬さ試験を行った。その結果、両者には摩耗寿命と高荷重でのビッカース硬さに大きな違いがあり、処理試料の方が優れていた。この違いを定量的に評価するために、ナノインデンターを用いた機械的特性の新しい評価方法について検討を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビーズミル法の限界や高圧ジェットミル法の特長が明確になり、複合化処理の有効性が明らかになってきた。複合化処理には、ビーズの粉砕による粒子表面のコンタミや損傷の減少、さらに形態制御の効果があり、緻密な材料作製に有効であることが分かった。また、作製した材料の硬さ以外に、摩擦摩耗試験結果に対応した機械的特性の評価方法も検討し、その評価の有効性が示されつつあった。 しかし、αアルミナはその硬さから複合化処理で微粒化できる径には限界があり、その値は約100 nm程度が限界と考えられた。 一方、液中プラズマを用いたナノ粒子作製では、Ag、Au、Ptなどの金属ナノ粒子の試作を行い、それらの応用に関しても検討した。その一部は抗菌性材料やセンサー等の応用が期待できた。αアルミナ粒子の作製実験は、まだ検討中の段階である。 ビーズミルや高圧ジェットミル処理で得られた各種材料の詳細、それら処理法の特徴、材料評価方法などの研究成果を、学会や図書にて発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果を基にして、複合処理によって得られた粒子を利用した焼結体と膜の作製に関する研究を行う。 (1)高圧ジェットミルとの複合処理を応用した材料の作製を行い、焼結体における複合処理の利点を明らかにする。また、高圧ジェットミル法のプロセスモニタリング方法とファイバー材料への適用を検討する。 (2)ガスフロースパッタなどのスパッタ法でアルミナ膜を作製する。 焼結体に関しては、硬質材料として優れた炭化物を用いる。作製された焼結体や膜に関しては、ナノンデンテーション法により膜の機械的特性評価を評価する。硬さ以外に、摩擦摩耗試験の結果に対応する新しい評価方法についての検討を行い、その手法の応用を検討する。 これらの成果により、材料開発における高圧ジェットミル複合化処理技術を発展させる。
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