2013 Fiscal Year Research-status Report
界面設計による革新的結晶粒微細化剤の開発と発現機構解明
Project/Area Number |
24560909
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邉 義見 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50231014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 尚 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50402649)
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Keywords | 鋳造 / 結晶粒微細化 / 異質核 / 金属間化合物 / ガスアトマイズ法 / 放電プラズマ焼結法 / 不整合度 |
Research Abstract |
D022型Al3Ti金属間化合物は結晶の対称性が悪いため,面によって平面不整合度が異なる.これらの面の中では,最小の平面不整合度は{112}Al3Tiにおける2.17%であるものの,最大では(001) Al3Tiにおける4.89%となり,この面における整合性は低い.結晶粒微細化剤中のAl3Ti粒子は板面が(001) Al3Tiである板状を有し,不整合度が一番大きい面が圧倒的な割合で占有しているため,Al3Ti粒子が異質核として最大の能力を発揮しているとは言い難い.球状に近いAl3Ti粒子の平均不整合度は2.99%であり,高い微細化能を示すことが予想される.そこで,球状Al3Ti粒子をガスアトマイズ法により作製し,それを用いて微細化剤を製造し,保持時間を変化させてアルミニウム鋳造実験を行った. 微細化剤を添加しないで作製したアルミニウム鋳造材では,等軸晶や柱状晶を有する通常の凝固組織が観察できた.これに対し,微細化剤を添加して作製したアルミニウム鋳造材において,保持時間が0秒でのアルミニウム鋳造材の組織は均質かつ微細になった.しかしながら,Al結晶粒は保持時間が長くなるにつれて組織が粗大化していた. この現象を解明するため,作製した微細化剤に時効処理を施したところ,球状Al3Ti粒子は分断されていくことが見いだされた.時効時間を増やしていくと,Al3Ti粒子同士がより細かくなり,離れていくことが確認された.以上の結果から,フェーディング現象が鋳造初期に生じるのは,製造した粒子と比較して非常に細かな粒子が働いていたためと考えられる.そこで,短時間撹拌での鋳造実験を行った.その結果,撹拌時間30秒の鋳物に比べて,組織が微細になっていた.したがって,開発した結晶粒微細化剤の工業的利用のためには,ガスアトマイズで作製した球状Al3Ti粒子の粒界構造を制御することが必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画においては目標以上の成果が得られているのと同時に,その展開の実験も行ったところ,非常に興味深い結果が得られている.また,これら成果に関する企業からの問い合わせも多く,実用化に向けた段階に入りつつある.実用化に向けた取り組みとして、株式会社真壁技研との鋳造アルミ合金用結晶粒微細化剤の事業化に向けた試作開発の共同研究があり,これは平成25年度補正「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業」に採択された.
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Strategy for Future Research Activity |
計画以上の成果が得られているので,本年度中に大型予算獲得に向けて舵取りを行う.
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