2013 Fiscal Year Research-status Report
異周速圧延法によるチタン板材の集合組織制御と高性能化
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24560915
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
黄 新ショウ 独立行政法人産業技術総合研究所, サステナブルマテリアル研究部門, 主任研究員 (80415679)
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Keywords | 異周速圧延 / 純チタン / 組織制御 / 成形性 |
Research Abstract |
平成25年度は、異なる不純物濃度を持つJIS1種、2種と3種の純Tiに対して、500℃~700℃の圧延温度で、等速圧延と異周速比1.36の異周速圧延を行い、不純物濃度が材料組織と成形性に与える影響を調査した。 EBSD解析の結果、圧延まま材では、純Tiの純度の低下に伴って、等速圧延材と異周速圧延材は両方とも板幅方向へのc軸の傾斜角度が減少し、c軸が圧延面の垂直方向に近づくことがわかった。これは底面すべりの活発化によるものと考えられる。また、異周速圧延を用いたせん断歪みの導入により、いずれの種類の純Tiでも、c軸が相対的に圧延面の垂直方向にシフトした。結果として、JIS2種と3種の純Tiでは面内異方性の小さい底面集合組織を得ることができた。焼鈍を経ると、板幅方向にc軸傾斜を示す通常の集合組織に戻る傾向があるが、異周速圧延材は等速圧延材に比べ、板幅方向へのc軸の傾斜角度が比較的に小さく、より弱い面内異方性を示した。また、不純物の濃度の増大に伴って、焼鈍中の結晶粒成長が遅れ、焼鈍材の結晶粒径が小さくなることがわかった。 高強度を示すJIS3種材は低い延性を示すため、圧延欠陥の発生を抑制するために、より高い圧延温度等、適切な条件で異周速圧延を行う必要があることがわかった。エリクセン試験を行った結果、純度の低下に従って、等速圧延材の室温エリクセン値はJIS1種、2種、3種の順で15.2、13.2と9.1と低下した。一方、異周速圧延材はすべての種類の純Tiにおいて室温エリクセン値は向上し、JIS1種、2種、3種はそれぞれ16.6、15.2と9.6の室温エリクセン値を示した。すなわち、せん断歪み導入により、JIS2種の張出し成形性をJIS1種と同等まで向上させることができた。これは異周速圧延材が集合組織的に比較的に小さい面内異方性を示すためと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
JIS1~3種の純Tiに対して等速圧延と異周速圧延を行い、異なる種類のTiにおいても異周速圧延が成形性向上に有効であることを実証した。Tiの純度が集合組織形成への影響を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
JIS1~3種の純Ti圧延材に対して、不純物の量が引張特性に及ぼす影響を調べ、変形に伴う組織の変化を調べる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引張試験片を作製するための治具の費用を次年度に残したため 引張試験片作製治具、研磨用消耗品、電子顕微鏡用消耗品などの購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)