2012 Fiscal Year Research-status Report
イオン液体の液体膜による空気中の水蒸気・二酸化炭素・VOC蒸気分離法の開発
Project/Area Number |
24560918
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊東 章 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (50151494)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 液体膜 / ガス分離 / 二酸化炭素 / 除湿 |
Research Abstract |
本研究は新規素材であるイオン液体を用いてガス・蒸気分離用の液体膜を作成して,その液体膜モジュールにより,空気中の微量成分(水蒸気,二酸化炭素,VOC蒸気)の膜分離装置を開発する。各種イオン液体のこれら蒸気・ガス透過係数を測定し,基礎的なイオン液体の透過分離特性を明らかにした上で,イオン液体膜の分離性をさらに向上させるための成分混合を検討することを目的としている。本年度は実用になるまでの分離性能向上を目指して,中型膜モジュールを用いイオン液体を中心に分離目的に最適な液体膜成分の開発を目標として以下のように実施した。 1.実用試験用膜モジュールの構成法の確立:実用試験向け膜モジュールは厚さ3 mm, 30 cm角(膜面25.5 cm角)の中型として,疎水性多孔質膜にサンドイッチされた厚さ20 mmの含浸液体膜である。イオン液体を含浸する多孔質膜は新規に開発された厚さ2 マイクロメートルの超薄膜である。これにイオン液体を含浸して,約10マイクロメートル厚の液体膜を構成できた。イオン液体は不揮発性なので,この液体膜は耐久性に優れている。 2.分離試験の実施 空気中の炭酸ガスを回収し,1600ppm程度の炭酸ガス濃縮空気を供給する装置を構成し試験した。イオン液体とアミン液体の混合液体膜により目標の装置性能を達成した。この装置で生成する二酸化炭素濃縮空気とは,例えば人口植物栽培装置(温室)などへの二酸化炭素供給に応用することができる。また,空気中の水蒸気を膜を通して回収し,真空ポンプ出口で凝縮液として回収する装置を構成した。イオン液体による液体膜により,5-10 g/hの凝縮水蒸気が回収可能な装置を実現できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標の実用試験用膜モジュールの構成法の確立については実際に厚さ3 mm, 30 cm角(膜面25.5 cm角)の,疎水性多孔質膜にサンドイッチされた厚さ20 マイクロメートルの含浸液体膜モジュールを複数製作した。 分離試験の実施については空気中の炭酸ガスを回収し,1600ppm程度の炭酸ガス濃縮空気を供給する装置を構成しその性能を実証できた。また,空気中の水蒸気を膜を通して回収し,真空ポンプ出口で凝縮液として回収する装置を構成した。イオン液体による液体膜により,5-10 g/hの凝縮水蒸気が回収可能な装置を実現できた。 なお,目標とした空気中のVOC除去装置の構成と試験については本年度は達成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果をふまえ,実用中型膜モジュールによる膜分離装置の性能試験と,実用フィールドテストをおこなう。 1.膜モジュールの製造性と耐久性 前年度で膜モジュールの構造を確立するので,数十単位での膜モジュールを製作する。このための膜材料費,膜モジュール材料費,製作委託費を計上した。液体膜で懸念されるのは耐久性である。これを自動測定装置を備えた装置による連続運転で検証する。 2.実用試験は以下を実施計画である。(A): 炭酸ガス濃縮空気供給の実用フィールドテストは室内において長期連続試験を実施する。(B) 除湿・加湿装置については,膜面積の大きい多段装置を構成し,その性能向上を図る必要がある。学内の恒温・恒湿槽を借用し,多様な気候条件,室内条件下での空気中の水分の分離・移動の性能を測定する。(C) 空気中のVOC成分除去については,10 m3程度の室内環境装置を用意して,その中での有機蒸気,臭い成分の除去性能を実証する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)