2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノセンシング技術による固体表面への汚れの付着脱離キネティクスの解析
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24560919
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
萩原 知明 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (20293095)
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Keywords | 洗浄 / 吸着 / アドミッタンス解析法 / QCM-A / 水晶振動子マイクロバランス法 / 食品汚れ / ウシ血清アルブミン / エビ |
Research Abstract |
平成24年度で検討した乳由来タンパク質のβ-ラクトグロブリンに加えて、新たにウシの血液由来タンパク質であるウシ血清アルブミン、さらに実際の食品由来のエビ抽出液を用いて、金属表面に対する付着脱離過程の把握を行った。 β-ラクトグロブリンと同様に、ウシ血清アルブミン、エビ抽出液中の成分の付着過程についても水晶振動子マイクロバランス法により付着ならびに脱離過程をリアルタイムで測定することが可能であった。その際、QCMの解析方法として、アドミッタンス解析法(QCM-A法:QCM based on Admittance method)を用いることにより、試料溶液の粘度の影響を排除したデータを得ることが可能となり、付着量をより精度よく測定すること、並びに付着した汚れの粘弾性の時間変化も評価することが可能となった。また、粘度の大きい洗剤を用いた洗浄過程においても、洗剤添加による試料溶液粘度の上昇の影響を受けることなく、汚れの脱離過程を精度よく測定することが可能となった。以上の結果は付着脱離の速度論の正確な把握につながる有用な知見であると考えられた。 付着したタンパク質からなる付着層の粘弾性は、付着後数時間のオーダーで徐々に粘性成分が変化している様子が観察され、付着したタンパク質分子の構造変化または付着層を形成するタンパク質分子同士の充填状態が変化している可能性が示唆された。この結果は、未知の点が多いタンパク質の吸着現象の本質的な理解に寄与する重要な知見であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アドミッタンス解析法の導入により、測定精度の改善、付着層の物性に関する情報が可能となったことにより、有用な実験結果が得られるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
アドミッタンス解析法によるタンパク質性汚れの付着・脱離に関する測定を継続するとともに、付着・脱離過程の予測と制御を目指して、付着量および脱離量の時間変化の速度論的な解析を行う。 また、微生物(大腸菌等)の付着・脱離過程についても同様の検討を行う。
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