2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノセンシング技術による固体表面への汚れの付着脱離キネティクスの解析
Project/Area Number |
24560919
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
萩原 知明 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (20293095)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 吸着 / QCM-A / アドミッタンス解析法 / 洗浄 / 速度論 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
【平成26年度に実施した研究の成果】 最終年度の平成26年度においては、前年度に導入したアドミッタンス解析法(QCM-A)を用いることにより、ウシ血清アルブミン溶液ならびに、実際の食品由来のサケ抽出液を用いて、ステンレス鋼表面に対する汚れの付着ならびに脱離挙動について検討した。 ウシ血清アルブミンの付着脱離挙動はQCM-Aを用いて測定可能であった。付着量より求めた吸着等温線はラングミュアの吸着等温線の式で良好に記述できた。しかしながら、付着過程ならびに脱離過程の速度論はラングミュアの理論とは明確に異なる結果となった。 サケ抽出液成分の付着脱離挙動もQCM-Aで測定可能であった。FT-IR測定により、スレンレス鋼表面に付着する汚れの主成分はタンパク質であることがわかった。付着量より求めた吸着等温線もラングミュアの吸着等温線の式で良好に記述できた。しかしながら、付着過程ならびに脱離過程の速度論はラングミュアの理論とは明確に異なる結果となった。付着操作時に付着量がいったん増加した後、減少に生じるなどの挙動が観察されることもあった。また、洗剤の濃度と汚れの付着量の組み合わせによっては、洗剤添加により汚れの付着量が増大する例が観測されたことから、適切な洗剤濃度が存在することが明らかとなった。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 QCM-Aを導入することにより、タンパク質ならびにタンパク質を主成分とする汚れの付着および脱離挙動を精度よく把握することに成功した。その結果、吸着ならびに脱離の過程の速度論は、標準的な吸着理論であるラングミュアの理論とは明確に異なることを明らかにした。また、付着操作時に付着量が増加した後に減少する、洗剤添加にもかかわらず付着量が増大する等の特異的な付着脱離挙動も見出した。以上の知見は、洗浄水量削減技術の開発の一助になるものと考えられた。
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