2013 Fiscal Year Research-status Report
シリカネットワーク構造制御による超高透過性を有する二酸化炭素分離膜の創製
Project/Area Number |
24560924
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金指 正言 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10467764)
|
Keywords | ゾル-ゲル法 / ガス分離 / アモルファスシリカ / 細孔径制御 / 分子ふるい / 緻密化 |
Research Abstract |
平成25年度は,①“Bridged”アルコキシドを用いたポリマーゾル調製条件の最適化,②環状アルコキシドを用いたポリマーゾル調製条件の確立,③製膜,④気体透過特性および耐熱性の評価,またそれらに付随する特性評価(吸着実験,NMR etc)について検討項目とした。特に環状アルコキシドを用いた分離膜の作製,“Bridged”アルコキシドを用いた金属ドープシリカ膜の開発について詳細に検討した。 環状アルコキシドを用いた分離膜の作製に関しては,Si4員環かご型構造を有する,Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane (POSS)をシリカ前駆体として用い分離膜を製膜した。550℃で焼成することで製膜したPOSS膜は,CO2透過率が温度の低下とともに大きく増加する表面拡散を示した。一方,分離対象となるN2,CH4透過率は温度の増加とともに透過率が大きくなる活性化拡散を示し,100℃においてCO2/CH4透過率比100以上を示した。修正Gas Translation (GT)モデルによりPOSS膜の平均細孔径を算出したところ,CO2分離膜の代表例であるDDR膜と同程度であることが明らかになった。以上より環状アルコキシド法により,ネットワークサイズの精密制御が可能であることが明らかになった。 Si原子間にCH2基を有するBTESM膜(Si-C-Si unit)に異種金属であるAlをドープしたAl-BTESMを製膜し細孔径制御性についても平成25年度は検討した。AlをドープするとBTESMネットワーク内にAlが取り込まれることがNMRの測定結果により明らかになり,ネットワーク構造が緻密になった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の主な研究実績は下記に示す2点であり,当初研究計画した内容を順調に遂行できている。 まず,環状アルコキシドを用いた分離膜の作製に関しては,Si4員環かご型構造を有する,Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane (POSS)をシリカ前駆体として用い分離膜を製膜した。550℃で焼成することで製膜したPOSS膜は,100℃においてCO2/CH4透過率比100以上を示し,CO2分離膜に適した平均細孔径を有している可能性が示された。修正Gas Translation (GT)モデルを用いて,POSS膜の平均細孔径を算出したところ,CO2分離膜の代表例であるDDR膜と同程度であることが明らかになった。以上より環状アルコキシド法により,ネットワークサイズの精密制御が可能であることが明らかになった。 Si原子間にCH2基を有するBTESM膜(Si-C-Si unit)に異種金属であるAlをドープしたAl-BTESMを製膜し細孔径制御性について,各種気体透過特性により評価し,Alの存在状態をSi-NMR,Al-NMRにより評価した。AlをドープするとBTESMネットワーク内にAlが取り込まれることがNMRの測定結果により明らかになった。ネットワーク内に取り込まれたAlによりネットワーク構造が緻密になり,非吸着性分子の活性化エネルギーが大きくなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
①“Bridged”アルコキシドを用いたポリマーゾル調製条件の最適化,②環状アルコキシドを用いたポリマーゾル調製条件の確立,③製膜,④気体透過特性および耐熱,耐水蒸気性の評価,またそれらに付随する特性評価(吸着実験,NMR etc)は平成25年度に引き続き研究開発を継続するが,“Bridged”アルコキシドを用いた金属ドープシリカ膜の開発に重点を置く。AlをドープすることでBTESM膜はネットワークサイズが緻密になることを昨年度明らかにしたので,Al添加法や焼成温度,Al添加率について詳細に検討を行なう。さらに,今年度より環状アルコキシド法,金属ドープ法により製膜したシリカ膜,オルガノシリカ膜の耐熱性について評価する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は,膜分離に関連する国際会議が7月にオーストラリア,中国でそれぞれ開催されるため,成果発表,最新の研究動向を調査するため海外出張を2回行う予定である。そのため,海外出張旅費,学会参加費を前年より多く計上する必要があったため。 物品消耗品:107万,旅費:50万,その他:20万
|