2014 Fiscal Year Annual Research Report
炭化水素ガスの反応性熱CVD法による多孔性炭素-セラミック複合薄膜の創製
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24560926
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉岡 朋久 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50284162)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 対向拡散CVD / カーボン / ガス分離 / シリカ / 有機無機ハイブリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
1.分子動力学法による非晶質・スリット状膜構造の作製と分子透過シミュレーション スリット状細孔,およびカーボン結晶を溶融・冷却することにより非晶質カーボン構造を計算機上に作製し,非平衡分子動力学透過シミュレーションにより,気体分子および液体分子の膜透過シミュレーションを行った.スリット状細孔における液体状分子の透過には通常のHagen-Poiseuille流れからの偏倚が観測され,細孔表面からの相互作用が透過分子に影響することが示唆された.非晶質カーボン構造における気体透過では,Knudsen拡散的な傾向が見られ,炭素膜としては比較的大きい細孔構造となっていることが示された.これは緻密な炭素膜における透過傾向とは異なり,炭素膜のモデル化の精度向上が必要であると思われる. 2.炭素-セラミック複合膜による気体選択透過性評価と性能向上 さらなる気体透過選択性の向上を目指して,トルエン蒸気を炭素前駆体として用いた対向拡散反応性熱CVD法により炭素膜をセラミック基材上に作製した.この膜のHe/SF6透過率比は1620を示し,前駆体としてC3H6(分子径4.5nm,He/SF6=215)やiso-C4H8(同5nm,343)を使用した膜に比べて高いHe選択性が得られた.ゾルゲル法でセラミック膜にベンゼン環を有する有機キレートを添加・熱処理した場合にも高いHe透過選択性が観測されたことから,分子サイズが大きいトルエン(0.585nm)では,基材の大きい細孔内にも炭素が効率良く蒸着することによりSF6の透過を阻害したと思われる.しかし,CO2/N2選択性については200℃で4程度でありCO2選択性は高くなかった.また,トルエンの場合も400℃酸素雰囲気下で蒸着炭素は分解除去されたが,前駆体がC3,C4の場合に比べて分解に要する時間は長く,分解されにくい蒸着物が形成されていることが示唆された.
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