2013 Fiscal Year Research-status Report
環境調和型プロセスの実現を目的としたゼオライト膜の構造制御
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24560927
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
熊切 泉 山口大学, 理工学研究科, 助教 (20618805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一宏 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (30188289)
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Keywords | ゼオライト膜 / 分離 / エタノール / 脱水 / 共沸混合物 / メタノール / 水熱合成法 |
Research Abstract |
FAU型ゼオライト膜を作成時に、従来の定温での水熱合成(100℃、または、140℃)に代えて、合成温度を高温(140℃)から合成途中で低温(100℃)に降温することで、膜の分離透過性能が大きく向上することを見出した。合成初期に核発生が促進され、低温条件下で成長を促進することで、より緻密な膜になったためであると推測される。この結果は論文として発表した。 異なる手法で合成したFAU型膜を用いて、エタノール水溶液、及び、非水系の分離性能を評価した。膜により水選択性に大きな違いが見られたが、すべての膜で高いメタノール選択透過性(メタノール10wt%-メタクリル酸メチル90wt%の混合溶液から、透過流束>1.5 kg m-2 h-1、分離係数>1000)が得られた。メタノール/ブタノールの分離に於いても、メタノール選択性が得られた。共沸や沸点の近い非水系混合溶液にもゼオライト膜を応用できる可能性がある。この結果は論文として発表した。 ロッド状のゼオライトからなるMFI型ゼオライト膜を、異なる材質(αアルミナ、ムライト)、異なる細孔径(0.1、1.3μm)の支持体を用いて合成した。得られる膜性能は、用いる支持体と種結晶の組み合わせに大きく依存することが分かった。製膜のスケールアップには、均一な種結晶の塗布法の開発が必要である。また、管状支持体内表面に種結晶を塗布できれば、モノリス支持体へのゼオライト膜形成が可能となる。そこで、支持体表面での不均一核発生を利用する方法を試みた。水熱合成により数μmの結晶を支持体内側や外側表面に担持することができた。結晶の大きさは合成条件により制御することができた。これらを種として合成したMFI型ゼオライト膜も、ロッド状のゼオライトで表面が被覆されており、水選択透過性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成条件の改良により、FAU型ゼオライト膜性能が大幅に向上することを明らかにした。また、非水系への適用を検討し、たとえば、メタノール・メタクリル酸メチルの分離で高いメタノール選択透過性を示すことを示した。これらの結果を論文として発表した。加えて、膜合成のスケールアップを目指して、MFI型ゼオライト膜の合成法の改良を行った。 以上のように、これまでに、膜の合成法の改良や開発、合成法と分離性透過性の関係に関する知見を獲得しており、目的に沿って順調に研究は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、スケールアップが可能な新規な種結晶の塗布法により、水選択性なMFI型膜を得たが、性能は従来法よりも低い。種結晶の塗布量が多い為に、又は、結晶径が大きい為に、MFI型膜のSi/Al比が大きく疎水的になっている可能性が考えられる。膜の構造分析や、製膜条件の調整により、性能の向上を目指す。 FAU型、MFI型ゼオライト膜を用いて、エタノール水溶液分離、単成分のガス透過、CO2/CH4分離を行った。シランカップリング剤により、ゼオライト結晶間隙の閉塞を試み、修飾前後でのガス透過分離性の変化も測定した。修飾によりCO2選択性が向上した。修飾による膜の構造変化等の分析をこれから行う。また、修飾法を改良し、より高いガス選択性を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ゼオライト膜中の結晶間隙の閉塞に、特別な装置がいらず簡便なシランカップリング剤をまず試みることとした。CVD装置の構築や周辺機材を行わなかったため、次年度使用額が生じた。 研究費は、ゼオライト膜の合成や評価で使用する消耗品費と、成果の発表や調査に関する旅費に充てる。消耗品費の内訳は、試薬類、多孔質基材、ガス類、液体窒素、swagelok配管部品、XRD,SEM,ICPなどの測定資材である。旅費は、膜学会(東京、5月)、化学工学会 秋季大会(福岡、9月)や、国際学会(国際無機膜学会、ブリスベン、オーストラリア)などへの参加旅費や、研究調査旅費に充てる。
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Research Products
(9 results)