2013 Fiscal Year Research-status Report
理想的なファウリング対策の実現を目指したろ過膜の界面制御手法の開発
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24560931
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
市村 重俊 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 准教授 (20333156)
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Keywords | 膜ろ過 / ファウリング / セラミック膜 / リン脂質ポリマー / 表面処理 |
Research Abstract |
本研究は、従来の試行錯誤的な膜ファウリング対策からの脱却を目指すため、表面処理による耐ファウリング性の向上とともに、ファウリング対策に適した界面制御に関する知見を見出すことを目的としている。表面処理にはタンパク質の吸着抑制能が非常に高いことが確認されている2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマーを利用し、セラミック膜の表面処理法の確立、簡便な表面処理法の検討、最適な表面状態の検討を課題としている。平成24年度は、MPCポリマーとして3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランとの共重合体であるPMSi91を用いてシリカ膜とアルミナ膜の表面処理を行い、耐ファウリング性が向上することをろ過試験により確認した。また、透過モデルによる解析により、表面ポリマー層の厚みも評価した。平成25年度は、表面処理条件として、ポリマー濃度、処理時間の他、水および酸の添加の影響について検討した。いずれも高い耐ファウリング性が確認されたが、ある条件下では、透水性が著しく低下し同時に分画性が向上する結果となった。これは、シランカップリング反応により形成したポリマー層の構造と物性が変化したためと推測される。表面状態は、処理法とポリマー、基材膜の素材や孔径によって変化するため、耐ファウリング性とその安定性に影響を及ぼすと考えられる。一方、ファウリング物質のサイズや性質によっても最適な表面状態は異なると予想される。ポリマー鎖の数密度や長さを制御できる表面開始リビングラジカル重合法(ATRP法)との併用により耐ファウリング性膜の最適な表面状態に関する知見を見出すことができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、MPCポリマー(PMSi91)によるシリカ基材とアルミナ基材の表面処理を中心に検討した。その結果、シランカップリング法を用いた独自の表面処理法がセラミック膜の耐ファウリング性の向上に有効であることが確認できた。平成25年度は、この手法を確立させるため、さまざまな処理条件で作製したシリカ基材膜を用いて耐ファウリング性を検討した。また、ポリマー鎖の数密度や長さを制御するため表面開始リビングラジカル重合法(SI-ATRP法)による表面処理も新たに行った。シランカップリング法との比較により最適な表面状態に関する知見を得る予定であったが、十分な表面処理には至らなかったたま次年度も引き続き検討予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、表面処理条件が表面状態および膜の性能に及ぼす影響を検討する。表面処理法には、シランカップリング法とSI-ATRP法を用いる。表面状態は、走査型プローブ顕微鏡等を用いた構造観察の他、ゼータ電位等の表面物性により定量化する。膜の性能は、耐ファウリング性を中心に、透水性と分画性も含めてろ過試験により評価する。ファウリング試験では、これまで主に利用してきたタンパク質(パパイン)の他、一般的に利用されている牛血清アルブミン(BSA)も利用する。他の研究機関で検討されている表面処理法とも比較し、耐ファウリング性膜の開発に最適な表面状態を見出す。また、膜の性能はろ過条件にも大きく影響を受けるため、流速や操作圧力の他、ファウリング物質の凝集分散状態の影響にも注目して検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の若干の遅れにともない予算の使用用途を変更したため、次年度への繰り越しが生じた。 次年度以降の研究費と合わせ、透過実験に必要となる器具または試薬の購入に使用予定である。
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