2014 Fiscal Year Annual Research Report
理想的なファウリング対策の実現を目指したろ過膜の界面制御手法の開発
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24560931
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
市村 重俊 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 准教授 (20333156)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ファウリング / 膜ろ過法 / MPCポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、国内外において膜ろ過法を利用した水処理技術が注目されており、膜の汚染にともなう性能劣化(ファウリング現象)が課題となっている。本研究は、試行錯誤的な膜ファウリング対策からの脱却を目指し、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマーによる膜の表面処理による耐ファウリング性の向上と界面制御に関する知見を見出すことを目的とした。 最終年度は、公称孔径50nmのセラミック管状膜を利用し、共重合体によるシランカップリング法と表面開始リビングラジカル重合(SI-ATRP)法による表面処理を行った。前者では、MPCと3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランとの共重合体であるPMSi91を利用することで、未処理膜に比べ経時的な性能の低下が抑制され耐ファウリング性の向上に有効であることが確認できた。これはポリマー鎖による吸着抑制とサイズ排除の効果によると考えられる。一方、長時間の透過試験では、ファウリング物質として用いたタンパク質の凝集体の影響により緩やかに性能が低下した。これは、ファウリング対策としての界面制御の限界を意味しており、ろ過条件の最適化とともに今後の課題である。また後者の処理法では、MPCポリマーの重合がATR-FTIR分析により確認されたものの、ポリマー鎖の数密度やその長さを制御するには至らなかった。走査型プローブ顕微鏡による物質間相互作用力および表面状態の評価を並行して進めてきたが、これらを組合せることで理想的な界面状態に関する定量的な評価が期待できるため今後も継続して検討する予定である。
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